第189話 カケージ港制圧
南の大陸から来たと嘘を付きカケージ港を支配する商人の屋敷に案内されたけど、魔力が80000あると鑑定が出てしまい屋敷を警備してる兵士が戸惑っている。
「鑑定器が壊れているのかな?」
俺の外見は強く見えない、異世界の魔力が高い人は殆どが強そうな外見をしてるからなぁ。
兵士は俺に魔法とスキルが無いので、余計に理由付けを勝手に作っている。
「南の大陸の人間には鑑定器が、上手く作動しないのかもしれませんね」
助かった、商人に逃げられると困るから最悪、周囲の市民を巻き込んででも確実に殺そうと思っていた。
身なりの良い男
「どうぞ屋敷の中へ、頭領様と会われる前にすみませんが湯浴びして身体を綺麗にされて服を着替えて下さい」
俺は汚れた身体を、お湯が入ったタライと石鹸を使い綺麗に洗う。
身体を洗い終わったら綺麗な服に着替える。
屋敷には使用人や警備の兵士を含めても20人も居なさそうだ。
兵士の人数は少ないけど、近くに寄った時に鑑定した人達を見ても、全員レアスキル持ちで強そうだ。
頭領
「南の大陸から来た人とは貴方か」
もっと高齢の東南アジア系の顔立ちで、金に汚そうな商人を想像してたが、実際は長身の白人の血が入っていそうな40代ぐらいのロマンスグレーなイケメンおじ様だ。
この人はプロトマト人じゃ無いのかな?
『そうです、南の大陸から船が難破して、長い間この大陸で生活しておりました、ホノオと申します』
頭領
「ホノオさんか、苦労してたんだね」
暫くは他愛の無い会話をして和んだ空気の中で色々な話をしていた。
頭領
「なるほど、もしかして貴方は最近増えている地球から来た転移者ですか?」
え?何処で、そう思ったのか。
頭領
「南の大陸から此処へ難破したのは事実なんですか?」
俺が転移者というのは間違いないと思われているのか、外見か?話した内容か?
どうしようか、この距離なら捕縛する事も殺す事も問題無いしな。
単刀直入に行くか。
『どうして俺が転移者と思ったのか教えて貰えますか?』
頭領
「幾つか日本の常識を話して、この世界では非常識になる内容を混ぜた会話をしました」
「それにホノオさんの肌艶が良過ぎた、数年も過酷な生活をしてる雰囲気じゃないから嘘かなと思ったんです」
『俺の本当の名前はアイスです、ここを支配する為に乗り込んで来たアイス国の王です』
周りの兵士が一気に緊張して殺意を此方に向けてきた。
頭領
「まさか、アイス王が自ら1人で来るとは思いませんでした、聞いてた雰囲気と違いますね」
「抵抗はするな、カケージの守備兵が全員で掛かっても皆殺しにされる程の実力ある方だ」
俺は何故食料の輸送が遅れているのか、何故日本人を集めるのが遅れているのか詰問した。
カケージを治めている頭領さんは、ルーガ帝国の指示があったからだと教えてくれた。
実際の食料は、アイス国が知らない東の別ルートからルーガ帝国へと輸送はしているそうだ。
日本人を集めるのはルーガ帝国からの指示で、集めなくて良いと、遅らせろと。
『頭領は拘束して一緒に来て貰います、家族はもしかしてもう逃してます?』
頭領さん
「さっき港から東の国へ逃げるよう指示しました」
『いや、今度こそ従うなら全員を助けますし、家族も東の国より俺の近くに居た方がスタンピードの時に安全ですよ』
頭領さんは少し考えてから
「あそこに居る兵士達を殺せますか?あれはルーガ帝国から派遣されている、私を監視してる兵士です」
俺は頭領さんが指した兵士3人を見る。
ルーガの兵士達は瞬時に俺へ近付いて、雷撃を喰らわせてくる。
反射された雷撃が周囲へ飛び散り、周りの人間が焼け焦げている。
ルーガ兵士も反射した雷撃を喰らったはずだけどダメージが無さそうだ、俺にダメージが与えられないと思ったのか一瞬で逃げようとする兵士達を凍らせる。
凍らせた兵士達を殺さず、オリハルコンで固め目を潰して手足だけ切り取る。
周りの雷撃で倒れている人達に回復魔法を使う。
頭領さん
「スタンピードの事は私には分かりません、ですがアイス王に従います、ルーガ帝国はアイス王をスタンピードが終わった後に、殺せると言っておりました」
ずっとルーガ帝国が裏で邪魔してたみたいだ。
一緒にスタンピードを乗り越えようと思ったが、無理そうだな。
長山さんやヴァルガさん、兵士達に向けて
『他の商人もルーガ帝国の監視下に居そうだ』
『プロトマト国は後回しにしてルーガ帝国を滅ぼす、ルーガ帝国さえ亡くなれば更に東の国も助けられそうだしな』
ルーガ帝国が健在ならプロトマト国を支配しても、裏で暗躍されて上手く機能しないのは分かった。
俺は街の外で待機してた全兵士を撤退させ、全軍にルーガ帝国への移動を指示した。
雨はルーガ帝国へ近付くと、霙に変わっていった。
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