第186話 反乱と差別

ダンジョンに篭ってゲートの魔物を全て倒す作業を急いでいる。

狭い空間なら1分も掛からずゲートを閉じる事が出来るけど、俺の脳から創造される場所だけど異常に広い時もある。

山だったり、遊園地みたいな場所がゲートの中にあると、魔物を見つけて倒すまで数時間も掛かってしまう。


2週間で2000ヶ所のゲートを攻略したけど、全部に入るまで1か月半はまだ掛かりそうだ。

ルーガ帝国とプロトマト国の間は2週間程で往復出来るみたいで、2週間後にマンジュウさんが戻って来た。


マンジュウさん

「お久しぶりです、色々と話したい事もあるんですが大丈夫でしょうか」


『俺の方は思ったより時間が掛かってる、でも今日は1日休んで皆んなの話を聞くよ』


ダンジョンから出てオリハルコンで造った兵舎にある部屋で、マンジュウさんと2人で話す。

他の兵士達の報告は後で聞く。


もう冬に入っているけど、プロトマト国はそんなに寒く無いから厚着をしてたら暖房は要らない。

高そうな木箱に入っている紅茶を淹れて貰って飲みながら、今の状況をマンジュウさんから聞いた。


センベーさんはルーガ帝国の魔法学校で勉強を続けているけど、まだ1つも魔法を覚えていないらしい。

本人は「アイスさんルーガ帝国に来たら片手と片目を治してー、コーラとポテトチップス食べたい!夢に見るー(笑)」

と元気にしてるらしい。

若い生徒から揶揄われても平気で、1人だけ中年オヤジでも気にせず勉強をしてるみたいだ。

センベーさんは精神的に強くなってると思っているから気にして無かったけど、元気で良かった。

魔法やスキルを後天的に覚えるのは相当大変らしいから、スタンピードまでに覚えるのは難しいかもしれない。


センベーさんは元気だけどルーガ帝国へと連れて来た、シャルパックやネスカ、その他の国の市民の状況は厳しいみたいだ。

ルーガ帝国は市民を受け入れてくれたはずなのに、食料の提供も酷いものらしく、提供された土地は荒れた場所で水の確保も厳しい場所らしい。


連れて来た市民には、ルーガ帝国の街へ入るのを禁止してるみたいだ。

酷い差別的な扱いをされているそうで、皆んなの不満が溜まって、一部の人達が食料を奪う為に反乱を起こしているそうだ。

山口さんやヴァルガさんが兵士を率いて鎮圧したけど、兵士も一部は反乱を起こしている。

毎日何処かしらで起こる反乱の鎮圧で手一杯と、マンジュウさん以外の兵士達からの話からも報告があった。


正確な人数さえ分からない移住者がルーガ帝国へと入ったから、混乱は起こると思ったけど難しいな。

シャルパック国とネスカ国からの移住者以外にも、秋の収穫を終えた他の2国から続々とルーガ帝国へ移動して来ている。


それにプロトマト国でも食料の買い付けを、当初約束した時より渋っているみたいだ。

日本人も約束したより集めていない。

俺にビビって約束したけど、俺が動けてないからか急がずゆっくりしてるのかな。


ルーガ帝国もプロトマト国も俺を舐めているんだろう。


『急いでダンジョンを攻略する、他の者にも其々の持ち場で暫く耐えろと伝えろ』


『俺が動けるようになったら、プロトマトもルーガも、支配者には舐めた態度のツケを払わせる』


なるべく穏便に済ませたいけど、結局は力で抑えつける酷い解決策になるかもしれない。

スタンピードが始まるまでに、食料の確保を急がないと間に合わないよな。

プロトマト国の状況が変わらないなら、ダンジョン攻略を途中で止めて首都オーサイへ俺が行くしか無いかも。

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