第132話 川
マンジュウさんに人を殺さないと魔力が上がらない事を説明して、
俺は魔力を上げないとスキル使って戦えないから、人をスキルが使えるまで殺すつもりと話した。
話をしたせいで、マンジュウさんとの会話が殆ど無くなってしまってる。
前回のマンジュウさんは旅をした時に下手すると、センベーさんより陽気に会話をリードしていた。
陽気なマンジュウさんは、今は居ない。
ジャガイモ村近辺に着いたらマンジュウさんと、南の方に住んでるはずのアケミさんを連れてプロトマト国に向かう予定だったけど、
今のマンジュウさんはジャガイモ村に着いたら、俺達と別れて村に定住しそうだ。
5日目に東へ真っ直ぐ進んだ所に北の山から流れて来てる小さな川を発見した。
『この川だったっけ?センベーさん覚えてる?』
センベーさん
「全く覚えてないなぁ」
「それよりも魚を獲って食べようよ、カニや貝でもいいよ」
俺の記憶だともっと大きい川だったような、でも記憶力に自信が無いから確証なんて持てない。
とりあえず魚を獲ろう。
俺も腹がぺこぺこで、草と回復魔法だけだと気を失いそうなぐらい腹が減ってる。
数時間も川で魚や他の食べられそうな生き物を探したけど全く見つけられなかった。
捕まえられないんじゃなく生き物が居ない。
暫くするとセンベーさんが川の近くにある岩を退けて下に居る、小さな2ミリあるかどうかの得体の知れない脚が沢山生えてる虫を、一心不乱に口へ入れ続けている。
俺はセンベーさんの生きる事に必死な行動を体育座りをして眺めていた。
生きるって大変だな。
萬寿さん
「佐藤さん川に沿って此処から2週間も歩くのは厳しいんじゃ無いでしょうか」
「お二人は大丈夫なのかもしれないが、私は歩くだけでフラフラして来てます」
『俺も歩くだけで辛いです』
萬寿さん
「山が近くに見える様になってるから、北にあるはずの魔物の森も近付いてると思うんです」
マンジュウさんは東に向かわず一旦、北にあるだろう森に向かって、そこで魔物を狩って食料を手に入れようと提案してきた。
確かに食べる物が無い川に沿ってジャガイモ村へ向かうのは厳しいな。
目がガンギまってるセンベーさんにも北に向かって魔物を狩ろうと聞いたら、即座に北に行くと返事をしてくれた。
俺達3人は北に向かって歩き出した。
センベーさん
「へへへっ、あそこに居た虫って不味いんだけど、頭がチカチカして気持ちよくなるんだよ」
俺はセンベーさんに直ぐ回復魔法を使う。
ヤバい目をしてたのが治ったみたいだ。寄生虫とかも魔力が高かったら治せると思うが、今の俺の魔力では無理だから、人体の中まで把握出来ないし危ない病気とかにはならないで欲しい。
治ったはずのセンベーさんは歩く足を上げるのも辛そうにしてる。
センベーさん
「助けて足を上げる体力も無いよ」
センベーさんの助けを俺とマンジュウさんは無視する。
背負ってあげるなんて無理だし、肩を貸すのも体力的に無理だ。
俺達3人は多分普通の人より体力が無い。
3人ともゆっくりとゾンビの様に辿々しく歩く。
北に向かっても魔物が居なかったら旅が終わりそうだ。
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