第131話 やる覚悟
3人でなるべく早くジャガイモ村へ到着するのが今の目標だ。
センベーさん
「不味くて飲み込めない謎の草の煮込みを、毎回食べてたら毎回下痢だよ!」
「回復魔法でお腹の痛みは消える?僕のパンツの茶色いシミは洗っても取れないんだよ!」
歩きながらセンベーさんが汚い話を延々と続けてる。
センベーさん俺だって言葉に出さないだけで、パンツは汚くなってるよ、、、
俺とセンベーさんは前回の異世界で鍛えられたのか慣れてしまったのか。
意外に汚いサバイバルを経験してても悪態を吐いたり、美味しかった食べ物の話をしながら歩く体力はあるみたいだ。
だけどマンジュウさんはずっと黙り込んで俯きながら俺達の後ろを付いて歩いている。
俺とセンベーさんはマンジュウさんを知っているけど、マンジュウさんからしたら転移して直ぐに知らない2人が仲良く話し掛けてきて、延々と歩かされてる状況は厳しいと思う。
元々俺達3人はコミュ障だから、きっかけが無いと仲良くなるのも難しいもんな。
マンジュウさんに合わせて旅をしてあげたいけど、時間との勝負な今回はジャガイモ村へ行った後に、出来れば早めにプロトマト国にある地下室へ行きたいと俺は思ってる。
夜になってオリハルコンで家を作ってから、明かり用の焚き火台を壁際に作る。
部屋の真ん中に椅子とテーブルを作った後に、テーブルの上に鍋を置いて歩きながら拾った、なるべく新鮮そうで美味しそうな草を入れて煮込む。
センベーさん
「臭いだけで食欲が消し飛ぶよね!食べた後に下痢パーティーが始まると思うとオラ、ワクワクすっぞ!」
最悪だ、食事前なのにデリカシーの無い発言で、頑張って口に入れようとする気持ちが減っていく。
『食べて見ないと分からないよ、今日の草はニラに似てるから香りは悪いけど食感と味は良いかもよ?』
センベーさん
「アイスさん分かってない!僕は不味いに全財産賭けてもいいよ!これは間違いなく不味いよ」
センベーさん俺だって不味いと思ってるのに、もう何も食べる前に言えなくなった。
3人で青臭い草をドロドロまで煮込んで溶かした、クソ不味い物を口に入れて飲み込む作業を終える。
皆んな苦行を終えて、お湯を飲んで気持ちを落ち着ける。
不味い食事は会話が弾まないというか、無言で咀嚼音が聞こえるぐらい静かに皆んな飲み込む。
センベーさん
「やっぱり不味かったね。2時間後ぐらいにお腹が痛くなるからアイスさん回復魔法をその時にお願い」
『分かってるよ、トイレの横に服を洗う場所を作ってあるから、お湯が必要になったら言ってね』
下痢パーティーという催しが開催されるまでの間に、皆んなで異世界の事を話す。
今は今後の事と言うよりも、マンジュウさんに情報を提供する場だ。
マンジュウさんは初めて会った時より言葉数が減って寡黙になってしまっているが、話はちゃんと聞いてくれてる。
マンジュウさん
「人を殺さないと魔力が上がらないんですか!?」
『異世界人は魔物を倒して強くなれますよ、俺達みたいな転移して来た人達で、魔物を倒して魔力が上がった人は見た事が無かったです』
『俺だって嫌だし、人を殺すと思うと憂鬱になりますが、誰でもいいと言うわけじゃありませんが、なるべく人を早く殺して魔力を上げたいと思っています』
マンジュウさんが化け物を見るような目で俺を見る。
センベーさん
「僕はスキルが無いから魔力を上げる必要無いけど、アイスさんが反射スキルを使えるまでは人を殺さないと多分僕達は直ぐに死んじゃう」
この世界の厳しさと異世界人の倫理観的に殺しに対してハードルが低く、殺しは平気でしてくる事と、
地球人も一部の人達は積極的に人を殺しているとマンジュウさんに説明する。
マンジュウさんが殺したく無いのも分かる、俺とセンベーさんも前回は1年以上も殺しに参加しなかったからな。
だけどそれだと遅いし手遅れになるんだよな。
マンジュウさん
「私には人を殺すなんて無理です」
だよなぁ、覚悟なんて簡単にいうけど、転移して来て数日で魔力を上げる為に目の前の人間を殺せとか言われても、
日本で平和に暮らしてた人がいきなりは無理だよな。
でも躊躇してたら逆に殺されるんだよ。
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