第130話 落胆

オリハルコンで作った家で横になっていると、センベーさんの声が暗闇に響いてきた。

2日しか経ってないけど、声を聞いたら安心する。


家から出て大声で

『センベーさん!!!マンジュウさん!!!ここー!!!』


燃えてる木を一本だけ残して後は水魔法で消火していく。


センベーさん

「遠くで木が一気に燃えてるから、これはアイスさんの仕業だなと思ったよ(笑)」


『よく見えたでしょ!(笑)』


俺の知ってるマンジュウさん事、寺田萬寿さんは緊張した表情でこちらを見ている。


マンジュウさんと数年ぶりに会う。

俺の知ってるマンジュウさんはメガネのレンズが片方割れていたけど、目の前のメガネレンズは割れてない。

昔のマンジュウさんとは実際には1ヶ月ちょっとぐらいしか旅をして無かったんだよな。

それでも俺にとって忘れられない旅をした仲間だ。

生きているだけで嬉しい。


『初めましてですよね俺の名前は佐藤氷です』

『センベーさんから事情は聞いてると思いますが、アイスと以前は呼ばれていました』


萬寿さん

「初めまして寺田萬寿と言います」

「転移して直ぐに山崎さんから色々な話を聞きました」

「すみません筋力強化スキルを使えたので異世界に転移したのは理解出来ているのですが、今だに混乱しておりまして、全てを消化しきれてはいません」


そりゃそうだよね。

オリハルコンの家を大きくして、焚き火を部屋に設置して中で話す事にした。


センベーさん

「アイスさん通販が使えなくなったのか」

絶望した表情でセンベーさんがガックリと肩を落として座っている。


2人にコップへ入れた水を渡して、これからの事を相談してる。


鑑定をするとマンジュウさんは筋力強化スキルを持っていたが、センベーさんはリスタート1しかスキルを持っていなかった。


センベーさん

「アイスさんの通販スキルでいっぱい色々と食べられると思ってたから、お腹の減り方がヤバいよ」


萬寿さん

「ここから東へ1週間歩くと川があって、其処から川に沿って東へ2週間〜3週間歩いた所に村があるんですよね」


『記憶が怪しいけど多分そんな感じだったです』


1週間は地面に生えてる雑草や木の皮をお湯で煮た物とかを、食べて過ごすしか無さそうだった。

木の実が成っていたら食べられるんだけど今の季節は春で、これから木の実が出来てくる感じなのか何も実って無かった。


食料の確保は川に急いで到着してから魚を獲って食べようと、

回復魔法があるので、道中の怪しい実でもキノコでも食べられそうなのは片っ端から食べて、具合が悪くなってから考えようと3人で決めた。


萬寿さん

「北に行けば魔物の森があるんですよね?一角ウサギやオークを見つけて食べる事も出来そうですね」


『リスクは有るけど、確かに魔物を獲れるから北の森から東の村に行く方法もありますね』


センベーさん

「ジャガイモ村からなら魔物の森の位置は知ってるけど、此処から北にどれくらい歩いたら魔物の森に着くのか分からないよ」


そうなんだよな、ここら辺は人が住んで無いから前回の時も地図が曖昧だったはず。

北に1週間も歩くなら東の川に向かった方がいいよな。


かなりの時間3人で話し合っていた、流石に寝ないと不味いので2人に回復魔法を掛けて今晩はもう寝ようと横になった。


前回は約1年半後にスタンピードが起こって約4年で北の大陸はほぼ全ての国が壊滅した。

今回も同じようにスタンピードが起こるなら時間はそんなに残されてないよな。

通販スキルが無い分だけ、スタンピードが起こったなら対処が厳しいかもしれない。


事前に止めないともっと死人が出るかも。

スキルが減るから気軽にリスタートなんて出来ないしな。

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