第129話 お腹が鳴る

異世界にもう一度転移してから一日中ずっと歩きっぱなしだ。

センベーさんとマンジュウさんに早く合流しようという気持ちが、休む気持ちを無くして忙している。


足の疲れや痛みは回復魔法で回復できるけど、空腹だけは無くす事が出来ないでいる。

日が沈み太陽の位置から方角が分からなくなったので、歩きたいけど朝まで待機する。

太陽の位置からの方角は教えてもらって覚えたけど、星の位置から方角を調べる方法をナチャチャさんとかに聞いておけば良かった。

異世界の星とか全然覚えて無かった。


前回の夜は通販スキルで出した携帯ゲーム機やポータブルDVDとかで時間を潰してたから、何も無い真っ暗闇で朝まで耐えるなんて初めてだ。

家はオリハルコン生成で作れるから雨風は防げる、ここら辺には雨は降らないけどね。


魔力は初期値に戻っているのか、オリハルコン生成も前よりは上手く生成出来ない。

でも何十万回とオリハルコンを生成してきているからか、初めて転移した時よりは生成のコツは掴んでいるので、コップみたいなのも生成できるな。


コップに水を入れて温めたお湯を啜って空腹を紛らわせてる。

疲れを回復魔法で治してるからか疲れで眠気が来るとかも無い。

だから空腹のせいで余計寝られない。


夕食は草原に生えている雑草を煮たスープを食べた。

鑑定スキルで草を鑑定しても雑草としか出ないから、何を食べてるのかも分からない。

滅茶苦茶不味かった。


苦味しかない草を無理矢理食べたけど、量をそんなに食べられなかった。

お湯を飲んでる方がましだ。


硬いオリハルコンのベッドで横になって目を閉じる。

腹が減ったなぁ、ダンジョンのセーフティーゾーンで食べた美味しい食べ物を思い出して、朝日が昇るまで寝る以外は美味しい食事を妄想し続けた。


朝になって太陽が東から見えたので、歩き出す。

オリハルコンの家はそのまま残しておく。

家には水を入れた瓶を作って置いておく。

オリハルコンで生成した東の方角を示す矢印の看板を歩きながら立てていってる。

数時間に一回オリハルコンの家を作って水の入った瓶も残して行く。


俺とセンベーさんとマンジュウさん以外にも、草原に転移してる人が居るかもしれない。

食料も無い状態で生き残れるか分からないけど、せめて村がある方角だけでも教えてあげたい。


2日目もひたすら東に歩き続けた。

お腹はずっと鳴りっぱなしな気もする。

腹は減るけど余分な脂肪が付いている身体は、幸い何日か食べられなくても大丈夫だと思う(笑)


真っ平な草原だけだった地形も丘陵があったり所々に木々が生えてきた。

もう直ぐ2人が待ってる場所に着くはず。


異世界に転移してからの2人は殆ど動かず救助を待っていたから、俺が東に真っ直ぐ向かえば合流は出来るはず。

一応、周りで1番背が高い木の下に居てとは伝えている


俺は休まず昼間は歩きっぱなしだ。

それでも2日目の夜になってしまった。

仕方ないから家を建てて、朝になるまで待機する。


オリハルコンの家の周りの木に火を付けて燃やす。

周りに何も無い丘陵の天辺なので、木に火を点けたら遠くからでも見えるかなと思ってだ。

木を何十本も燃やすと煙が物凄い、環境に悪そうなキャンプファイヤーだな(笑)


オリハルコンの家は外の煙が入って来ないように、密閉された建物にして中で横になった。


「おーい!!アイスさん居ますかー!?」


横になって食べ物を妄想してたら、

外から微かに声がする。

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