第122話 レベルが下がる
真田さんとは3ヶ月に一回ぐらい会っていた。
俺の回復魔法は死ななければ、どんな怪我でも治せるのを知って、手を骨折した時に治してから時々身体のメンテで来るようになっていた。
久しぶりに会った真田さんが深刻な表情で、俺とセンベーさんの前で告白した。
真田さん
「佐藤さんは鑑定を使えるから見たら分かるだろう」
「先週になって、俺のレベルが96になった」
「仲間が死んで俺は1年2ヶ月の間ずっと魔物を倒してレベル上げをしていた。」
「その間に一度もレベルは上がらなかった、ここの魔物は弱いから仕方ないと思ってたが、レベルが逆に下がるなんて思いもしなかった」
俺は真田さん以外にレベル表示がある人に会って無かったけど、レベルが上がる人も居るし、下がる人も居たみたいだ。
魔力しか無い俺達も魔物を倒したら魔力は上がってたけど、元々低かった人だけ上がるけど、魔力の高い人は倒しても強くなった実感が無かったそうだ。
そして一切魔物を倒さずセーフティーゾーンで過ごしてた人達は、魔力もレベルも転移したばかりの初期状態に戻ってるらしい。
このダンジョンは魔力やレベルが下がり続けているみたいだ。
俺とセンベーさんは真田さんから話を聞いて、セーフティーゾーンの外に出てスキルを使ってみた。
センベーさん
「索敵の範囲が狭まってるかも!オリハルコンの棒を振り回すのも重く感じる!」
『俺もオリハルコンの生成が前より上手く出来なくなってる、火魔法も温度を高く出せない』
真田さん
「2人とも、やっぱり魔力が落ちていたか」
「早くダンジョンボスを倒さないと一生ここから出られなくなるな」
正直ここで死ぬまで暮らしたいと思う気持ちの方が大きいけど、反射スキルが使えなくなる程に魔力が弱くなったらと思うと、怖い気持ちもある。
反射スキルが無ければトロールに殴られるだけで即死してしまう。
俺とセンベーさんは次の日から魔物狩りを日課にしたが、
半年程したらセンベーさんは前より魔力が弱くなっているのを、分かるぐらい魔力が下がってきた。
センベーさん
「アイスさん、ゴブリンやオークを倒しても、僕達の魔力が下がる方が早いよ」
分かってるけど、ここの魔物は弱すぎて数が少ない。
今までダンジョンにあるSNSで他の人達と積極的に交流して来なかったが、今回の事で魔力が下がる事を皆んなに知らせた。
殆どの人達は魔力が下がるのを知ってたみたいだが、生活する分には困らないから問題無いという意見だった。
ここで生活するだけなら困らないよ、でも何かセーフティーゾーンにあったら、ダンジョンでスタンピードみたいな事になったら対処出来なくなるよ。
魔物に襲われても余裕で倒せると思えるから楽しく生活できた訳で、魔物と戦えなくなったらセーフティーゾーン間の移動も難しくなるのに。
皆んな相手にしてくれない、俺とセンベーさんがコミュニティの部外者だから聞いてもらえないのかもしれない。
1番ここで長く生活してる人に連絡が取れた、彼は10年以上もセーフティーゾーンで暮らしてるらしい。
地球時間で俺と同じ時間から転移して来たのにダンジョンで生活してる時間は圧倒的に長いな、センベーさんが俺より1年半も長く生活してる件があるから気にしてもしょうがないか。
10年以上暮らしてる人
「私より長く生活してる人も居たけど、いつの間にか消えてたよ、日本に戻ったんじゃないかな」
「楽しく暮らして、その後は女神様が日本へ自動的に戻してくれるんだよ」
楽観的だ。いつの間にか消えてたって、どういう消え方なのか詳しく知りたかったけど、消えた人は気付いたらSNSが消えてて連絡が取れなくなったから、分からないとしか答えてくれなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます