第121話 時間のズレ

センベーさんはダンジョンに1年半も生活していた。

俺はまだ1週間もダンジョンに居ない。

時間のズレがあるのに鑑定で俺とセンベーさんの年齢は1歳違いのままだった。


戻れないのに不安にさせたく無いから、異世界で俺が襲われて3人が消えた話はしなかったけど、センベーさんから何故日本へ帰る転移ゲートに3日しか経ってないのに入ったのか、しつこく聞かれて話す事にした。


センベーさんはナチャチャさんが消えたのを聞いて動揺してた。

最悪殺されてるかもしれない。

俺もそれは考えている、異世界の人達は簡単に人を殺すから、今は俺もそうか。


センベーさん

「ハルトが怪しいよね」


そうなんだけど、あいつはクソ野郎でも日本に戻れるゲートは本物だったから動機が謎なんだよね。

俺とセンベーさんに対して舐めた態度をしてた。

俺のスキルを知ってたら襲ったとしても、もっと油断させてから攻撃するんじゃないかな。

いや舐めてるから一撃で殺せると思ってた可能性もあるか。


ナチャチャさんとセシャさんは何故消えたのか。


センベーさん

「僕さセシャさんと殆ど会話をした事ないんだけど、セシャさんには旦那さんと子供さんが居たんだよね」


『うん、スタンピードで生き別れたと聞いてる』


「もしさ生きてて人質に取られてたらナチャチャさんを裏切るかも?」


うーん、それだと長山さんのスパイだったかも、しれないな。

パパレ国に入るまでは連絡の取り用が無いけど、パパレ国で2ヶ月生活した間に連絡を取る事も出来たか。


ハルトとセシャさんが共謀した可能性もあるのか。全部俺とセンベーさんの想像でしか無いけど。


センベーさん

「ナチャチャさんの為に祈るよ」

「僕達はもう日本へ帰るか、ここに住むしか出来ないんだよね」


『そうだね、真田さんに聞いたら異世界に戻るゲートを見つけた人は居ないらしい』


それからセンベーさんとカレンが、1年半の間どんな生活をしていたか聞いた。

カレンはセンベーさんに隠してたハルトとの事を謝って、センベーさんは許して2人でセーフティーゾーンまで一緒に行動したみたいだ。

俺が真田さんに会ったように、センベーさん達も案内してくれる人が居て、セーフティーゾーンまで2日ぐらいで着いたみたい。


それからはセンベーさんの口が重かったけど、数ヶ月したらカレンは他の人達と仲良くなっていき、

センベーさんは孤立して友達も出来なかったから大人数で生活してる所から、人が少ないセーフティーゾーンに移動して生活してたらしい。


センベーさん

「ここのダンジョンに住んでる人達って、見た目10代20代の人が多いから話し掛けて貰えなかったんだ」


センベーさんの話は俺に取っても辛い。


次の日に真田さんは別の場所へ移動しながらレベル上げを続けるそうで、お別れする事になった。


『真田さん、ありがとうございます、一緒にダンジョンボスは倒せませんが、俺の回復魔法は多少使えるので大怪我をしたら是非連絡して下さい』


真田さん

「佐藤さん、もし日本へ戻る気が起こったら連絡して下さい」

「あなたは俺が出会った中で、1番魔法が強いんじゃないかと思ってますから」


その後、約1年間センベーさんと俺はセーフティーゾーンでゲームをしたりアニメを見たり、美味しい物を食べてダラダラとしてるけど充実した生活を送っていた。



その間に何回か会っていた真田さんと久しぶりに会って、鑑定をしたらレベルが下がっている事に気付くまでは。

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