第112話 クソ野郎

日本へ帰る転移ゲートに到着して、センベーさんとカレンさんがいよいよ日本へ帰る。

普通は固い握手や熱い抱擁を交わして、最後の会話を涙を流しながらして別れる所だ。

でも2人と少し距離が出来てしまっていた俺は、『さようなら、2人とも元気で』と言い握手もしないでゲート前で見送った。

ナチャチャさんとセシャさんは俺が想像した別れをしてた。


センベーさんは俺に

「もう戻れないと思うから、、、地球で頑張ってみる、アイスさんも元気で」


最後に地球での話や、もし俺も地球へ戻った時に会えるよう、住所をお互いに話せば良かったかもしれない。

結局お互いの話は最後までしなかった。


2人がいよいよ転移ゲートに入ろうとしていた。



2人が転移ゲートに入る寸前、ハルトさんがカレンさんを抱きしめて、暫く見つめ合った2人は顔を近付けてキスをした。

ハルトさん

「幸せになれよカレン」

カレンさんも目から涙を流して頷いてる。


え?何この状況。

俺は驚いて頭で処理出来ずにいた、センベーさんもビックリしてるのか目が泳いで口を鯉のようにパクパクして何も喋れないでいた。


ナチャチャさんとセシャさんは怒っていた。

ナチャチャさん

「ハルト最後にするんじゃない!」


ハルトさん

「最後だからさ」

「カレンもう行けよ」


カレンさん

「ずっと忘れないよ、ありがとう」


カレンさんはゲートの中に入って行く、慌ててセンベーさんもゲートに入る。



何が目の前で起こっているんだろう。

俺は暫く動けずに居た。

本当に長い時間、思考が停止していたみたいで、お昼にゲートの別れがあってから夕方になろうとしていた。


ナチャチャさんが理由を説明してくれた。

ハルトとカレンはパパレ国に居た時に、恋仲になっていたそうだ。

ナチャチャさんとセシャさんは気付いて居たけど、センベーさんに内緒ならと、2人の密会を俺達には黙っていた。


俺とセンベーさんだけ2人が密かに会ってセックスしてたのを知らなかった。

こんな胸糞な話は無いだろう。

気付かなかった俺も鈍いが、センベーさんの恋心を知っていて、行為に及んでた2人はクソ野郎だ。

ナチャチャさんとセシャさんも知っていて黙ってるなんて酷過ぎるだろ。


ハルト

「すまなかったな、センベーさんの事は気に掛けてた、それでもカレンを好きという気持ちを抑えられなかった」


いやいやいや、黙ってて最後にキスして皆んなに見せ付けるなんて、1番酷いだろ。


ナチャチャさんが止めなかったら、俺はハルトを殺してた。

殺して良いよな。

ハルトの横顔を見ながら、

許されてると思ってるコイツは舐め過ぎだろ。

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