それ、たぶん悩み過ぎのやつだよ。マジで。

エリー.ファー

それ、たぶん悩み過ぎのやつだよ。マジで。

「すみません」

「謝罪しないで下さい」


「麦茶を寝癖直しに変えますので、見ていて下さい。ただし、マジックではありません」

「はぁ、なるほど。へぇ」


「メールに書くべき最初の文章とはなんでしょうか」

「こんにちは。もしくは、おはようございます」


「何が地下芸人だ、バーカ」

「すみません。バカで申し訳ない」


「ゴリラを粉末にしてくれませんか」

「フリーズドライ」


「ほら、まただ。また、シュールな作品を作らずに正面から戦ってる。ダメだよ。シュールな作品を書かなきゃ」

「すみません」


「こらぁっ、シュールに逃げるなぁっ。分かりにくいっ、作品を書くなぁっ、ぽぽぽぽうっ」

「分かりました。丁寧に書きます」


「ごらぁっ、またシュールじゃない作品を書きやがってぇっ、もっと分かりにくい作品を書いてっ、読者を混乱させる表現を身に付けろぉっ。言うことを聞けぇっ、あっ、ああああっ、ぽぽうっ、ぽぽぽぽぽうっ。うおおっ」

「すべて、あなたの言うようにします」


「アドバイスっていうのはね、まずは、自分の中に一度は入れるものなの」

「誰、お前」


「クソバイスってなんですか」

「喋っていないことと同義」


「あの人、編集やってるけど。編集者を名乗ってるだけだからなぁ。才能ないのを肩書で水増ししてるタイプの凡人だしなぁ」

「あなたも、編集者でしょうが。身内を撃たない方がいいと思いますよ」


「小説家とか、マジで誰でもなれるからね。怖いよね。雰囲気で飯を食おうとしてる、プライドの高いバカでしょ」

「雰囲気がすべてですよ」


「花束みたいに殺してくれませんか」

「もっと具体的に言ってくれませんか」


「ベーコン型の爆弾を僕に渡して下さい」

「いいですよ。はい、どうぞ」


「すみません」

「いえいえ、お気にならさらず」


「麦茶を寝癖直しに変えますので、見ていて下さい。ただし、マジックではありません」

「ちゃららららら。ちゃらららららん、ららん」


「メールに書くべき最初の文章とはなんでしょうか」

「ないでしょ。そんな文章」


「何が地下芸人だ、バーカ」

「酔ってるんですか」


「ゴリラを粉末にしてくれませんか」

「ゴリラに悪いですよ」


「ほら、まただ。また、シュールな作品を作らずに正面から戦ってる。ダメだよ。シュールな作品を書かなきゃ」

「書いてますけど。何を言ってるんですか」


「こらぁっ、シュールに逃げるなぁっ。分かりにくいっ、作品を書くなぁっ、ぽぽぽぽうっ」

「ぽぽぽうっ。とは何ですか」


「ごらぁっ、またシュールじゃない作品を書きやがってぇっ、もっと分かりにくい作品を書いてっ、読者を混乱させる表現を身に付けろぉっ。言うことを聞けぇっ、あっ、ああああっ、ぽぽうっ、ぽぽぽぽぽうっ。うおおっ」

「読者を混乱させるのは、シュールな作品じゃなくてもできると思うけどね」


「アドバイスっていうのはね、まずは、自分の中に一度は入れるものなの」

「はいはい。勉強になるなる。凄く良い言葉ですね、ですね」


「あの人、編集者を名乗ってるだけだからなぁ。才能がないのを肩書で水増ししてるタイプの凡人だしなぁ」

「編集者に失礼ですよ」

「いや、才能の無い編集者をバカにしてるのであって、編集者をバカにしてるわけじゃないから」

「でも、言わない方がいいと思いますよ」

「何で」

「何で、と言っちゃうわけですね。そうですねぇ。うぅん。流石に察して欲しいんですけど」

「ていうか、それで怒る人がいたら、マジで被害妄想ヤバすぎるでしょ。編集者っていうか、社会人向いてないし、生きるの下手過ぎでしょ。関わってくること自体が迷惑だって」

「いや。やめましょう。危険です」

「何でだよ」

「あなた、編集者ですよね」

「まぁ、そうだけど」

「身内を殺そうとすると痛い目を見ますよ」

「だって、あいつらがいるせいで、こっちは自由に作れないし。あいつらの失敗のせいで、全体が見下されるし。そういうヤツらがクソみたいな失敗をしたのに、同じ職業ってだけでこっちまで文句を言われて、責任をとらされることもあるし」

「諦めて、頑張るしかないですよ」

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