俺が魔法少女!?

海男

始まり始まり






 俺は推しである朝のお天気お姉さん(中学生の頃からの推し)を家族並みに信用している。


 



 外れたこともないし、何しろ爆乳だし。



 毎日笑顔だし、何しろ爆乳だし。


 

 うん!グット!って感じで全てを信じている。爆乳だし。





 そんなベリーグットパーフェクトウーマンお天気お姉さんが言ってたんだ!!!




 本日のお天気は満天の快晴!



 曇りなし!



 降水確率も0パーセント!



 今日一日、良い日になるでしょう!って、言ってたんだ。



 良い日だって最初は思ってた。



 良い日で終わるって思ってた。位置情報ゲームでサクサクとレア素材も集まり、いつもはカウントしないレアモンスターも狩れた。





 なぁ〜んて良い日なのでしょう!!!




 !!!







「なぁ〜んで、こんな事になってんのぉぉぉおお!!!!!!!!!!???????」




 


 

 この世に生を受けて早17年!!!



 男気もあり頼りになる父(47歳)と叱る時にはしっかりと叱り、心優しき聖母の如くの母(不明)の元に生まれ!



 5歳の愛犬(名はレゴ、ちな俺が名付けた)とうふふ〜ん、あはは〜んと戯れながら生きてきた!

 


 そんな俺が!



 山の中をママチャリで『ど根性ぉぉぉおお!!!!』と爆速で叫びながら、100キロは出てる自信はある(実際そんなに出てない)気をもって、ドスンドスンと涎を垂れ流しながら、親の仇っ!と言う目をしている化け物から逃げていたのである!!!!





 さぁ!俺の運命は如何に!?












         完ッ!












      〜〜数時間前〜〜






 


 日曜日



 学生や社会人にとって最高の一日である休みの日である。ある者はゲーム三昧。ある者は外に出てドライブをするのも良し。



 それは人それぞれだ。



 かく言う自分も自転車に乗って外に出ている。どこか目的の場所や待ち合わせをしている訳ではなく、外でゲームをしているのだ!



「おぉ?ここで素材掘れんじゃ〜ん。ラッキ〜……ん!?しかも、レア素材がめっちゃ出たな」



 最近サービス開始した位置情報ゲーム『モンスタースレイヤー』略して『モンスレ』を自転車に乗って町を超え、知らぬ道、荒れ道をのらりくらりと軽い旅をしていた。



 神社や祠があるところに止まっては素材を取ったり、周りにモンスターが入れば全力全身でボコリに行ったりを繰り返していた。




「しっかし、今日はいい天気だなぁ〜。涼しい風も来てるし、やはり、お天気お姉さんが言ってた通りに……いい日になりそうだぜ」




 俺が毎朝見てるお天気番組の推しである爆乳お天気お姉さんが言ってたんだ。




『今日一日はぁ〜、お天気もいいですしぃ〜い日になるでしょうぉ〜!そんな日は、お外にお出掛けに行きましょうぉ〜!』




 んっ……!信じりゅ!


 

 ……っといけないけない。デカいの二つのメロンを抱えてるお天気お姉さんで沸騰仕掛けたわ。




 と、言う訳でママチャリで位置情報ゲームをしながらママチャリで移動していたら物欲センサーがビビッ!と反応した。




「この先に……べらぼう良いものがありそうな気がする!……うん、そんな気がする!知らんけど」




 まだ時間もあるし、見知らぬ山に入る事にした。


 整地された道ではなく、ガタガタの道であったが、長年培ってきたママチャリ技能を持ってすれば、泥道だろうが荒れ道だろうがスイスイと走っていける俺はなんとでもなかった。




「ん〜〜?人の気は無いし、周りにも家とかは無いな。木ィーばっかだなぁ」

(まーいっか。ここまで来たし、行けるところまで行くか)




 最初はレア素材が出まくった勢いでノリに乗って山に来たけど、そんな気は段々と無くなり、この際だし勢いで進めるところまで進んでやろうと思って、進んでいると右側の木々の間から眩い光が一瞬だけ視界を奪った。



「うおっ……まぶっ!?」



 咄嗟にママチャリのブレーキを握り、その場に立ち止まった。


 一度周りを見渡しても木々を生い茂る森なのは変わりはしなかったが、一瞬だけ輝いた右側の木々の隙間の奥から小さな光が輝いていた。



「な、なんじゃ……不穏な感じしかしねぇんだけど」

(でも、めっちゃ気になる!)



 猫の好奇心並みに持っていると言っても過言では無い俺の好奇心はすぐに行動に移った。



 立ち止まったその場所にママチャリを置き、スマホの画面を位置情報ゲームから、日頃使わないから埃を被っていた録音アプリに切り替えて、録音し始めた。



「何もなければそれで良い……けど、何かあったらそれはそれで録音しておいて損なねぇ……いや、何もあってくれないでくれよ……」



 ハハッ……と軽く笑いながら生い茂っている草を掻き分けながら、木々の隙間を通り、小さな光は近づく度に大きくなり、少し眩しくなったと思った途端、広けたところに出た。



「やっと、着い……とぉおぁ!?!?」

(あ、あっぶねー!落っこちるところだったわ!)



 広けたところに出たと思ったら、さっきまで生い茂っていた草達や木々達がこの場にもあったであろうが、月のクレーターみたいな小さな穴が空いており、その中心地から光か輝いていた。

 


「んー……ここからじゃよく見えないなぁ。仕方ない。降りてみるか……?」

(あんまし深そうじゃ無さそうだし、いざ逃げようと思えば、登れる高さか)



 よし!と覚悟を決めた俺は一気に降りずにちょっとずつクレーターの中へと降り、すぐ目の前には光の球体が浮いており、謎に包まれていた。



「……」

(なんだこれ……光の塊?にしても浮いてるように見えるな、てかこれ、なんだよ)



 怪訝な表情を浮かべながら光の球体をよく観察しても17年間生きてきた中で見た事のないし、そんな情報を持っていない自分は摩訶不思議な事が起きているとしか分からなかった。



「ふ、触れてみるか……?」



 ふ、触れるとしてとりあえず軍手付けて、触ってみるか……。いや、こえー!でも、めっちゃ気になるぅー!けど、触った瞬間に手が吹っ飛ぶとか消えちゃうとかやめてほしいー!



 でも、好奇心の塊代表である俺は理性が負け、とりあえずリュックに入っていた軍手を付け、光の球体へと両手を近づけた。



「何もありませんように、何もありませんように、何もありませんように………えええぃ!」



 後ちょっとで当たると言うところで勢いよく両手を光の球体へ触ると、ガラスが割れた音が聞こえたと同時に光の球体が大小違いの破片となり、最終的には地面に着く前に霞となって消えていった。



 そして光の球体の中には……。








「ほへ?……?」





 

 一冊の本が閉ざされて落ちていた。




 何が起こったのか訳も分からなかったが、軍手をその場で脱ぎ、光の球体の中にあった本を手に取った。


 一見普通の本に見えたが、明らかに異常なところがあるとしたら、本の表紙の真ん中に鍵が差さるであろう鍵口があり、鍵口の両サイドから鎖が巻かれており、ちっとも開く事が出来なくなっていた。



「なんだこれ……?本、だよな。にしても鍵口がある本なんて見た事ないぞ。しかも……ボロボロだな」

(とりあえず、両手が消えたり溶けたりとしなかったことは喜んでおくか……)




 裏表紙を見ても変わらずボロボロで、鎖の一部も錆びていたりして、あんまり触りたくなかったが、謎の光の球体から出てきたと言うだけで自分が知っている本とは異なるものだと分かっているが、数分見ても特に本以外の感想は出て来なかった。



「どっからどう見てもただの本にしか見えんしな……にしても、どうしてもこんな穴の中心にあったんだ、しかもこんなクレーター状に穴が空いてるって……上から降ってきたのか?」

 


 うーーーーんっと周りや空を見上げても特に何もなく、お天気お姉さんが言ってた通りの満天の大空が広がっているだけで、特に何もなかった。


 流石に何もないってことはねぇだろって疑り深く歩いてみたり、土を軽く蹴って掘ってみたりしても何も無く、残念がるようにため息をついた。



「はぁ…、本以外に収穫無し!ま、いっか。かーえろ。撤収ぅ〜撤収ぅ〜」



 流行りの歌の鼻歌を歌いながら帰ろうとした………その時、大きな衝撃と爆風が背中から食い、俺は軽く吹き飛ばされた。



「んまぁがはぇー!?!?」



 右手に持っていた本は手から手放してしまい、俺は二、三回転ゴロゴロと転がり、一体何が起きていたのか訳わからなくなっていた。

 

 犬神家みたいな格好になった俺は何を食らったのだろうか原因元を見てみると、先程の光の球体があった場所に、明らかに禍々しい渦を巻いている何かがそこに現れていた。



「な、なんじゃ、ありゃ?!いつの間に!?てか何、あれ!?」



 犬神家状態から立ち上がり、現れた禍々しい渦を見ていると、俺の背より高く、横幅は試合で使うサッカーゴールより広く、見れば見るほど吸い込まれそうな感じがして不気味だと思った。


 好奇心の塊である俺はじっくり観察したかったが、それ以上に俺の中の警戒君が『は、はよ!はよ逃げんかいな!ばかタレ!』と赤ランプ付けて訴えて来たので、それに従う事にした。



「よし!逃げー……」




『ゴルァァァァ!!!!!!!!!』




 

 禍々しい渦に背を向け、最初のだ〜い一歩っ!のさ、と言うところで森中に広がるほどの叫び声が鳴り響いた。



「う、嘘だろ……あれは、ゴブリン?」



 ぱっと見計算で、全長10メートル全身薄緑色で耳や鼻は少し尖っており、不気味な笑みを浮かべ、俺の方を見ていた。


 これはヤバいやつやん……って冷や汗を流しながら後ずさっていると



『おい!そこのヒューマン!』


「ほへ?」



 誰か俺なのか分からないけど呼ばれた気がして、辺りを見渡した。




 右を見る、左を見る……



 上を見る、下を見る……



 正面には、でっけぇゴブリンだ!




 うん、誰もおらん、逃げよ!



 


『ちょ、無視をするな!ここにいるぞ!ちゃんと見ろ!』


「無視するなって……まさか、お前!?」




 














ーーー

作者 次回不定期どすえ

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