第4話 心中

 その夜、私は眠れなくて天井を眺めていた。私は自分の自殺願望について考察する。


 何故、死にたいのかはよく解らない。でも、消えてしまいたい気分は強くあった。


『世界の理を満たすモノ』


 私の死によって世界が回り、動くのだ。想像がつかない。イヤ、正確には鉄雄の死でもいいことになる。二人が助かる方法が前世での心中である。


 断れば永遠の孤独と言っていた。そんな事を考えているといつの間に寝てしまう。

気が付けば朝だ。


 そして、放課後、化学準備室に向かう。私の中で答えは出ていた。


 中に入るとパイプ椅子にニーアが座っている。


「来たか、その眼差しは、心中するとの事だな」

「えぇ」


 私はローズマリーの小瓶を取り出して臭いを嗅ぐ。


……―――。


「姫様、姫様!」


 ガバ!


 私はメイドのテレサの言葉に飛び起きる。目覚めると、そこは豪華な部屋であった。前世へのダイブは成功。早速、これからテツを探さなければ。


 私は書斎に行くとテツが勉強していた。


「姫様、どうしたのですか?」

「ねえ、テツ、一緒に死んでくれない?」


 あああ、痛いぞ、私、普通はいきなり一緒に死んでくれは無いな。


 私が固まっていると、テツは真剣な表情になる。


「……姫様、政略結婚が嫌なのですね」

「あ、あ、え、え……」


 私は現代で鉄雄を救う為に死に来たのだ。でも、正確には、それは違う。本来は私の死で世界の理が回るのだ。鉄雄は巻き込まれただけだ。


 だから、この世界で死の決意をしたのだ。


「姫様、私はあなたを愛しています。姫様が死ぬと言うなら、このテツは喜んでご一緒します」


 ホント、テツは素直で素敵な方だ、この世界が前世の夢物語でなければ、ずっと一緒に居たいと思う。


 そして、テツに抱きしめてもらい。私は温もりを感じる。


 すると、書斎の奥からティーセットと粉が用意される。


「姫様、この毒で一緒に逝きましょう」


 まじか!まじか!まじか!!!


 何やら心の中で念仏の様に唱えてしまったが本当に死ぬのか?


 それから、ティーセットが整えられて飲めば死ぬ状態になる。


「姫様!ささ、グーッと」


 決意をしてこの過去の夢物語に来たのだ。私は目をつぶり、テツと一緒にカップにつがれたお茶を飲むのであった。






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