第3話 ややこしい事に
翌朝、クラスの雰囲気が違う。友達など居ないから原因がわからない。
ここは勇気を出して隣の席の男子に聞くと。
「美々、『田中川 鉄雄』を振ったらしいな」
はい?
「学年トップの成績にスポーツ万能、女子にモテモテの鉄雄だ」
あー、はいはい、昨日のショートメールね。
むむむ、それでクラスの女子から冷たい視線を感じるのね。
私は何時、消えても構わない存在だ、ほって置けばいいだろう。
そして、ホームルームが始まると。担任が青い顔をして話を始める。
「沢谷美々さん、頼むから、もう一度、化学準備室の掃除をお願いできないか?」
何故に……。と、小首を傾げていると。
「田中川鉄雄は校内での影響力は絶大だ、今日、休んだ女子の数は桁外れだ。もう一度、一緒に掃除をして黒白はっきりしてくれ」
放課後、私は化学準備室に向かうと。
「ちわーす」
化学準備室のドアを開けると。鉄雄は室内に横になって、浮かび意識が無い状態だった。
そのかたわらにフードをかぶった。少女がいる。
「この少年は、今、永遠の眠りについた。元々は君が自殺して世界が回るはずが、私が落としたローズマリーの小瓶の効果で生きる希望を得た。前世の記憶は夢でしかない。その夢がバッドエンドで終われば、輪廻の理が周り、この少年は蘇る。私もこの少年を殺したくない。そこで、その小瓶を使い前世で少年と心中をしてすべてを終わらせでくれないか?」
「いきなり、説明的なセリフだな。お前何者だ」
「私は時空の覇者。名前は『リーア』だ」
……。
私は自殺願望がある。しかし、確かに姫様と呼ばれて楽しかった。その世界で心中するとな?
「嫌だと言ったらどうする?」
私はリーアに問いかけてみる。
「言ったはずだ、世界の理を満たす為に死が必要だと。この田中川鉄雄があなたの運命の相手だとしてもか?」
「私はそんな博愛精神はない」
「では、ローズマリーの小瓶を返してもらって永遠の孤独を行えばいい」
何だ、この究極の決断をする話しは?
ああああ、もう一度、テツから姫様と呼ばれたい。でも、心中だろ!?
しかし、過去の世界の夢物語だ、死んでも臨死体験ですむか。
ここは時間を貰おう。
「わかった、ただし、時間が欲しい。明日の放課後に返事をする」
「良かろう、この鉄雄は影が一日、活動してもらう」
教室に差し込む黄昏からできていた鉄雄の影が歩き出す。
「見た目は真っ黒だが他の人には鉄雄と認識される。これで一日考えるがよい」
その後、私と鉄雄の影は一緒に化学準備室を出ると。
担任がやってくる。
「おおお、仲直りしたのか、これで私の首も繋がった」
この田中川鉄雄は担任の職に関わるほどの影響力があるのか。私に博愛精神は無いがここまま鉄雄を殺したら不味いか……。
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