スライムのお嫁さんとの学校面談(5)
「さてプルル君。私達は君の事について、もっと詳しく知りたいと思っている。……そこで、今から君の事について一つ一つ質問していくが、問題ないか?」
「もちろんです!お二人共、私に答えられるモノでしたら何でも聞いて下さい!」
「ウンディルムも、それで構わないか?無論、プルル君に対して無理矢理答えを聞き出す様な真似は、絶対にしないと約束する」
「ありがとうございます。自分もプルルの事をもっと知りたいと思っていたので、大丈夫です」
と言う訳で、プルルへの質問大会が始まった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「………………まさか、これほどとは……」
「……すごーい!プルルちゃんってただのスライムじゃなくて、とってもすごいマジックスライムだったのね〜!先生びっくりだわ〜!!」
「そ、そうなんでしょうか……?うぅ、なんだか照れてしまいますぅ……」
校長先生に抱かれたまま照れてるプルルはもちろん可愛いが、質問によって次々と判明した内容に僕も驚いていた。
まず、マジックスライムと言うユニークモンスターであるプルルの魔法や魔術に関する知識、技能、魔力は並のものではなかった。
魔導書に書かれた魔法陣のページから契約内容やその他の魔法的な内容を解析した事。そこから契約に関わる必要な事の優先度を理解し、簡略化した事。さらに、自身の魔力と身体を用いて魔法陣を完成させ、契約完了まで独力で……しかも短時間で成し遂げた事。
どれをとっても、普通の人間……ましてや、ただのスライムには絶対に出来ない芸当だった。
校長先生曰く、魔法魔術の扱いが最上位レベルの実力者が数人集まってやっと出来る超高等レベルの事らしい。
そしてスライムの形態から、服まで含めた完全な人型形態になれる事も普通のスライムにもマジックスライムにも、まず有り得ない事らしい。
ちなみにこれもプルル曰く、魔法技能の応用らしい。
また、言葉を含めて明確な高度な知能からある事。
キンニ先生が魔法で呼び出したタブレットを使って、プルルに簡単な物から少しずつレベルをあげて知能テストを受けてもらったところ、それなりに高い点数を出していた。
知能のレベルも、人間と大差ないらしい。
そして、さっきから完全に置いてきぼりになってるな、僕…………。
「ねぇプルルちゃん。貴方は魔法や知織関係なくとっても素敵な娘だと思うのだけど、その魔法の力なんかは自分で得たの?例えば……スライムから、マジックスライムに進化した時とかかしら?」
魔物には、長生きなどで経験を積む事で『進化』と呼ばれる上位個体へのステップアップ現象が確認されている。
プルルも何か特別な経験を積んで、スライムからマジックスライムに進化して、あの凄まじい魔法の力や知能を手に入れたと言う事なのかな?
「いいえ、私は始めからマジックスライムとして生まれました!そして魔法や知識を授けて下さったのは、お師匠様達です!」
んん?今、気になるところがめちゃくちゃあったぞ?
「なるほど、そうなのね〜!……よかったら、その事について順番に教えてもらっても良いかしら?」
「はい!もちろんです!」
「ありがとう〜!じゃあまずは、マジックスライムとして生まれたってところからお願いできる?」
「はい!魔法開発に関わる施設から流出した特殊な薬品から、私は生まれたそうです!」
ん?
「ええっと……プルルちゃん、もう一度言ってもらえるかしら?」
「え?はい。……魔法開発に関わる施設から流出した特殊な薬品から、私は生まれたそうです!」
「そ、そう……ちなみに、それは誰が教えてくれたの?」
「施設で働いていた、お師匠様達です!」
絶対そいつらロクデナシだろ。
施設から特殊な薬品垂れ流すな。
ちゃんと環境に配慮しろや。
……いけないいけない。つい、口が悪くなってしまった。
まぁプルルの手前、口には出せないけど……。
「そ、そうなのねー……そうだ!ちなみに、そのお師匠様達のお名前は分かるかしら?」
「いいえ。すみません、本名は教えてもらえてないんです……でもでも、魔法名なら教えてもらえました!」
「なるほど……じゃあ、その魔法名を私達にも教えてもらえる?」
魔法名はお婆ちゃんみたいな通り名と違って、本名を隠す意味合いで使われる偽名の一種だ。
偽名を名乗る魔法開発関係の施設で働く「お師匠様達」って、いったいどんな奴らなんだ?
「はい!女性の方は『湧水の魔法使い フォンターナ』様。男性の方は『小川の錬金術師 リーウス』様。と、教えて頂きました!」
は?
「は?」
「ん?ミュカ君?どうしたの?急に変な声出したりして……」
知っている。
その名前の人達を、僕はよく知っている。
「……ウンディルムどうした?顔色が悪くなっているぞ?具合が良くないのか?」
「そんな!ミュカ様?!大丈夫ですか?!!」
知っている。
その名前の人達を、僕はよく知っている。
いや、僕とお婆ちゃんしか、知らない筈の名前だ。
「……ミュカ君?貴方、今の魔法名の人達を知っているの?」
「…………ええ、よく知ってます。僕のお婆ちゃんも、よく知っている筈です」
「ミュカ君とソグネが知っている?……まさか!?」
「……はい」
「僕の父と母です」
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