第20話 灯火(燃焼)
『またな、ミツキ』
『またね、ロキ』
(俺は、やっぱりミツキの事が──ミツキの大事な人ごと救おう!)
(ごめんなさいロキ、私はお姉ちゃんを探さないといけないの……それが家族との約束だから……だから、まだ抜ける訳にはいかない!)
一時の逢瀬に心安らげながらも、二人はそれぞれの目的をその胸に灯し続ける。
ロキは、ライに待っていてもらった場所に戻ってきた。
「よう!終わったか、ロキ?」
「あぁ!」
「んじゃ、戻るか!」
「すまん、また頼む!……あと、ここまで付き合わせて悪い……ありがとな!」
「……っへ!背中に乗りな!」
一瞬呆けた顔をしたライが片方の口角を上げて答える。
「それで、話してくれるんだろうな?」
背中にロキを乗せて数歩ほど進んでから、ライが尋ねた。
「全部は無理だけど、話せれる範囲は話すさ……」
顔が見えないがロキの物言いに、ライは呆れた感じの雰囲気を出した。
「内緒にしたい理由があるんだろうけど、どうしたんだよ?」
「あぁ……助けたい人が出来た、ソレだけさ!」
ソレは先程合っていた人のことを言っているのかと思ったライだか、敢えて聞くことはなかった。
「そっか……しょうがない、話してくれるまでは待ってやるよ、一つ貸しだからな!」
「悪いな、助かる!」
そして、二人は基地に向かうなかで話しをした──。
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──sideミツキ──
ロキと別れてから、私は帰りたくないアジトに向かっていた。
「おかえり、ミツキ!」
「ただいま、アオイ……」
私を出迎えてくれたのは、アオイだった。
「どうしたの?浮かない顔をしてさ」
「うん……実は──」
私は、先ほどのロキとのやり取りをアオイに話した。
「そう……彼は、優しい子ね……」
「アオイ?」
話しを聞いていたアオイが神妙な顔をしながら小さな声で何かを呟いたのだか、私には聞き取れなかった。
「なんでもないわ、それよりも良かったわね、ロキ君が元気そうで!」
笑顔でクビをふるアオイが話題を変えた。
「うん……だけど、私の事情に彼を巻き込みたくない……」
私は、目を伏せてアオイの言葉に答える。
「……そう」
アオイも目尻を下げながらも悲しそうな表情を隠して答えた。
(ミツキ……彼もそうだけど、アナタもたいがい優しい子ね……彼と話してみようかしら……)
「ねぇミツキ、次はいつ彼と会う予定なの?」
「三日後の予定でいるわ」
「そう……その時は、私も行くわね!」
「えっ……アオイが……!珍しいね?」
「たまには、良いじゃない!」
アオイが自分から誰かに会いたいと話す珍しさに、ミツキは心底驚いたのであった。
「それに、彼にはちゃんとお礼を言いたかったしね!」
ウィングをするように、片目瞑って続けたアオイの言葉にミツキは納得するのであった。
「……わかったわ、なら三日後に一緒に行きましょう……」
納得はしているミツキの心にはモヤモヤとしたよく分からない感情が残るのであった。
続く
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