第18話 湖へ……

──sideロキ──

 あれから、まだ一週間が過ぎた。ようやく、無理なく歩くことが出来るまでに回復してきたけど、激しい動きが出来ないために手持ち無沙汰になっていた。


「そろそろ、湖に行ってみようかな……?」

 ミツキに会いたい!その気持ちが強く在ったために、一人呟くのであった。


「よーロキ!元気か?」

 どうやって向かおうか考えているところに、ライがカイを連れてやって来た。

「よっ!ライとカイか!」

「ロキ、まだ起き上がるなって!」

 二人が来たことで、寝ていた身体を起こす事にしたロキにカイがかけよってきた。


「激しい動きが出来ないだけで、起き上がったり、歩く分には支障がないから大丈夫だ」

「そうなのか?」

 カイの言葉にロキは頷く事で肯定した。

 それからは、今日在ったことを聞いたり敵の動向を聞いたりして、いろいろ考えを巡らせた。


「なぁライ」

「どうした?」

「頼みがあるんだけど、いいか?」

 いろいろ話しを終わらせて、カイが先に出たタイミングでライへと話を切り出した。


「……」

「……ちょっと待っててくれ」

 ロキの真剣な眼差しに少し考える素振りをしてから、カイに先に戻るように伝えてロキの元にライは戻ってきた。


「カイが出たタイミングで話すって事は、聞かれたくない話だと思って良いのか?」

「あぁ、出来ればライにも話したくはなかった事なんだけどな……」

 二人の真剣な瞳が交錯してから、ライは深いタメ息を吐き出した。


「わかった、話してみろ!理由は後で聞かせてもらうからな!」

「助かる!」

「それで、頼みって?」

 ロキの真剣な表情には、何かあると感じとり聞くことになったが、以外なお願いだったために、拍子抜けしてしまう。


「湖まで連れていって欲しいんだ!」

「へっ……?すまん、もう一回聞いてもいいか?」

「だから、湖まで運んで欲しいんだよ」

 もっと重大なお願いだと思っていたライは、間抜けた表情をしてしまう。


「ロキが何時にもまして真剣マジ表情かおしてたから、何か思っていたら、ただの足代わりにさせて欲しいって……」

 額に掌を当ててタメ息をつきライは一人呟くのに対して、ロキは語りかけるのであった。

「ダメか?」

「いや、まぁそれぐらいなら別に構わんぜ!」

「助かった!すまん、こんな事頼んでしまって!ありがとうな!」


 ライに了承を貰えて安堵したロキは、感謝を述べた。

「だけど今すぐは難しいから、そうだな……四時間後にしていいか?」

「それで、かまわない」


「じゃあ、また後で来るから準備だけはしとけよ!」

「あぁわかった!……ついでにもう一つお願いしたい……出来れば、他には知られたくないから、内密にしてくれ!」


「……しゃーね、わーたよ!」

 ロキの言葉にライは、怪訝そうな顔になりながらも了承したのであった。


               続く

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