第17話 疑念

──sideアオイ──

 アオイは、一人指定された場所に訪れていた。

 そこには、一人の男が椅子に座って待っていた。


「さぁ、来たわよ!」

「やぁやぁ!今日も来てくれるとは……見上げた根性ですねww」

 下衆な男の声が地下室に響き渡る。


「私が来ないと、ミツキにナニかするつもりでしょうが!」

「たしかに、ナニかをする予定ですよww」

 アオイの怒声に愉快そうに答える声の主は、立ち上がり一つの扉の前に歩く。


「では、いつも通りに服を脱いでこの部屋に入って来てくださいねww」

「くっ……」

 それがどういう事かを知っているため、悔しい思いを噛み締めるしかなかった。

(ミツキ……アナタの事、絶対に守るからね!!)

 そして、二人は扉の中へと消えて行った……。


---------------------------

──sideミツキ──

 アオイが何処に行っているのか知らない、帰ってくるとすぐに寝ている事もある。

 たまに、アオイが一人でいる時に泣いている姿を見ることもあるけど……私の前ではそんな姿を見せないようにしている、だから聞くのが怖い……。


 以前それとなく聞いてみたが、『気のせいじゃないの?』と笑っていた。でも、私にはわかる。

 アオイは無理をする時、決まって左の耳の上の部分を摘まむ癖が在るからだ。


「……まさか……!」

 ここ一週間ずっとだ、私は一種の疑惑を持つことになった……。

 だが、確証は無いため動くことも出来ないでいる。


「でも……もし、私の考えが合っていたら……!?」

 『もし、アオイに何が合ったら……!!』その事だけを考えていた。


               続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る