第16話 陰り
──sideロキ──
──あれから、一週間が経過した。
俺はその間は湖に行けないでいたため、ミツキの事が気になっていた。
あの後どうなったのか、無事なのかそれが今は気になっている。
「ハァー……ミツキに会いたいな……」
その呟きは、虚しく風に掻き消されるのであった。
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──sideミツキ──
退屈な一週間が経って、やっと杖無しで歩けるところまで回復した、まだまだ本調子ではなく、段差の登り降りではまだ痛い。
「ハァー……早く湖まで行きたい……」
「まーた、言ってるわねww」
つい溢してしまった本音をアオイに聞かれてしまった。
「しょうがないじゃない、こんな所でなんて気が休まらないわよ!」
「そうだけど……一応アナタは怪我人なのよ」
「……わかってるわよ……」
口を尖らせるミツキにアオイは半眼になって言葉を放った。
「あぁ!もしかして、例に
「な……!!ち……違うわよ!!//////」
その慌てようが面白くなり、アオイはニヤニヤして笑う。
「湖に行けたとしても、多分会えないわよ」
「だ……だから、違うって!/////」
「あら!じゃあ、会いたくないの?」
「/////……会いたい……」
アオイの言葉に恥ずかしながら小声でミツキは肯定し、それを見てまだニヤニヤしだす。
「やっぱりね!だけど、
「……!?そう……だよ!!」
ロキが身を挺した事でミツキは助かったのだが、そのせいでロキは大怪我を負うことになった。
その事実を思い出したため、ミツキの顔はだんだんの内に赤から青に変わってきた。
「私……彼にどうやって顔を会わせれば良いんだろう……?」
「さぁ?」
「どうしよう……彼……ロキは敵である私のために自分を撃ってまで助けようとしてくれたのに……ナニを返せば良いかわからないよ……!」
目を瞑り静かに聞いていたアオイは、『どうしたものか?』と考えていたら、おもむろにミツキが詰め寄ってきた。
「アオイ聞いてるの?」
「ん?ああ、聞いてるさ!彼……えっと、ロキ君だっけ?からの恩にどうお礼をすれば良いかでしょ?」
「聞いてるなら、一緒に考えてよ!」
「ミツキはどうしたいの?」
アオイの質問にミツキは、目をパチパチとさせる。
「……私?」
「そう、ミツキが!」
聞かれたミツキは、黙って考え込む。
「……私ちょっと出てくるから、ミツキは考えてなさいね」
アオイがチラッと外を眺めてミツキに伝える。
「えっ!ここ一週間ずっと何処かに行ってるわよね?」
ミツキの何気ない言葉に少し陰を落としてアオイが答える。
「ちょっとね……」
「……?」
その違和感にミツキは首を傾げながら、アオイを見ている。
「ミツキは気にしなくていいから、とりあえず考えてなさいね!」
ミツキの表情に気付いて、アオイは元気なフリでそう語り、出て行った。
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