私立・聖コープル女子高等学園「エロ研究部へようこそ♡ ……オイようこそっつってんだろ。ナニ引いてんだよ来いよ、良識なんて捨ててかかってこい! このスケベ共がー!」「下品だなぁ……」
第32話 部活(同好会だっつの)の醍醐味よね……合宿! の……前準備だァァァッ!(深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ)
第32話 部活(同好会だっつの)の醍醐味よね……合宿! の……前準備だァァァッ!(深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ)
「うっふっふ……ついに例の計画を、
ショッピングモールに一人、訪れているルナが、不敵な笑みを浮かべ――ぐっ、と拳を握って(小声で)言い放つのは――!
「前に
――エロ研究部、合宿の準備だぁ――!」
割と小声で叫んだ後、周りに人がいないか軽く確認するルナ。エロ研究部とか言い出す女子高生とて、さすがに一人で変なことを叫んで悪目立ちはしたくないのだ。
(良識的やんね……☆ そういうトコだぞ)
さて、エロ研究部という、ぶっちゃけいまだに活動内容が謎な集まりで、しかも合宿となると、一体なんの準備をするのか。
今この時、準備に乗り出しているルナの考えは、次のようであった。
(フフフ、せっかくだから皆には内緒のサプライズ☆ そしてエロ研究部の合宿なんだから、当然――そう、たとえば
さすがはエロ研究部の設立を謳いだしたヤベー女、もはや彼女を止める者はおらず、風紀の乱れまっしぐらは間違いなく――!
(――買ったりすんのはやめとこ、校則違反だし。バレでもしたら大変だし……アタシだけのコトならともかく、仲間にまで迷惑かけらんないモンね……☆)
あっおっそっそうですね。
……変なことを言い出すことの多いルナだが、基本、気が
さて、何にせよ内緒の買い出し、〝合宿〟という大目的もあってテンション上がり気味のルナが、スキップする足取りで買い物へ向かう――
(さ~って、じゃあナニ用意しよっかにゃ~♪ みんなで見る映画とかー、パーティーゲームとかー☆ あっそだっ、ジュースとか、お菓子……チ
「――あれっ? ルナさん、こんな所で会うなんて、珍しいですね?」
「むいーっ!? あ、あれっ……す、すみれちゃん!?」
突然の遭遇――私服姿のすみれと出くわし、思わずルナの声が裏返る。
すみれが言う通り、こんな所で会うのは珍しい。何せこのショッピングモールは学園付近から数駅分は離れている。サプライズのためこっそり買い出しに来たルナにしてみれば、誤算にも程があった。
が、ここでバレてはなるまいと、ルナは話を逸らそうとする。
「ほ……ホント、奇遇だねーっ!? あっすみれちゃんの私服、シックで落ち着いたカンジでスゴイ似合うー☆ なになに、何か買いに来たのー?」
「あ、はい、ちょっと気が向いたので、眼鏡の調整や新調とか、服も見に来て……この辺じゃ大きいショッピングモール、ここくらいですし。……そういうルナさんこそ、何か買いに?」
「……ファッ!? あう、ウン! そ、そーそー、服……は前に見たって言ったっけ……あ、あのあの、そうっ……アタシもメガネ見に来たの!」
「? いやルナさんが眼鏡かけてるの、見たことないんですけど……」
「な、なにィ!? そ、そーだったネ! あの、そう……帽子とか、そういうの! だ、だからアレなのアレ……別に何も隠しごととかしてないってかね!?」
(る、ルナさん……誤魔化すの、すごいヘタっぴですね……!?)
根が素直すぎるルナ、こればかりは仕方ないのである。
すみれがルナの目的を掘り下げるべきか、と考えていると――そこで偶然にも、カヲリが通りがかってきて。
「……ンッ? おールナにすみれじゃん、ナニしてんだー? 何か最近、こんなカンジで良く会うな~?」
「オーッフ!? かっかかカヲリちゃんまで!? 奇遇にもホドがあるっしょー!? はっ!? あいや、アタシは別に、ヘンなコトなんもしてないんだけどネ!?」
(る、ルナさん、何も聞かれてないのにそんなこと言っちゃうと、逆に怪しまれますよー!?)
積極的に語るに落ちていくスタンス、嫌いじゃないヨ☆
……さて、なぜかルナ・すみれ・カヲリと、続々集い始める――こうなってくると、期待される存在は。
冗談交じりに、カヲリが呼びかけてみる。
「……オメーの出番だぞ、ハナコ! ……なんつって、さすがにいるハズ――」
「フローラだっつんじゃい。……ってアラッ? 何やら聞き覚えある声と思ったら、皆さん勢ぞろいで何を――」
「いや、おるんかい! 呼びかけといて何なんだけどな!?」
「うおビックリした何ですのカヲリさん!? 勝手に呼びかけといてツッコまれる、そんなわたくしの理不尽をどう消化せいとゆーんですの!?」
なんか……えらいことになってるな……。
だが、いつかの本屋(※第30話参照)のように、またも勢ぞろいしてしまったエロ研究部の面々――思わず、上がった声は。
「いやエロ研究部のミンナが不思議と集まってくんの何なのー!?」
「いや文芸同好会のメンバーが不思議と集まってくるの何なんですかね!?」
ルナとすみれ、二人分の声が(ほぼ)ぴったり重なった。
そう、何もすみれの時だけではない――深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ。そんな大層な話でもないけど。
だが、突然に仲間達が集まり、先ほどまで誤魔化そうと必死だったルナは――勝手に追い詰められ、両手を揃えて前方に差し出す。〝手錠をかけてください〟的な、なんかあの感じのポーズだ。
〝?〟と戸惑う仲間達に、ルナが
「……あ、アタシが……アタシがやりましたっ……!」
「ルナさん!? えっ、何をしちゃったんですか、ルナさーん!?」
すみれが戸惑うのも当然、だが――
そう、
……別に悪事とかじゃないんだし普通に言いなさいよね、と思われるかもしれない――だが、思春期の失敗って何か大げさに捉えがちだし、いいじゃん(いいじゃん)
さて、そんなルナのサプライズ計画を耳にし……考え込んだ面々の内、カヲリが言ったのは。
「……いや泊まり込みともなるとウチらも着替えとか準備が必要だし、サプライズにされちゃ困るっつか、先に言っといてくんねーとさ?」
「うぐうっ!?」
まさかの初手カヲリによるド正論、これには深刻ぶりつつ結構
更にすみれも、〝あはは……〟と笑いつつ問題点を一つ挙げる。
「ま、まあまあ、ルナさんもサプライズでテンション上がっちゃってたんでしょうし……でも実際、泊まり込みの合宿となると……学園で、ですよね? うーん、それは……教員の許可とか必要になるので……やっぱり確認とか必要ですよね」
「うぐうっ!? ……そ、そーなの? もしかして結構、
「出来なくはない、と思いますけど、すぐには難しいかもですね……期末が終わった直後、それに夏休み前で、先生方も立て込んでるでしょうし……承認に時間がかかって、一か月後とかもありえるかもです。先生方にも、都合があるはずですし……何にせよ、誰か先生に聞いてみないことには――」
「呼んだか―――あたしが来た」
「文芸同好会の面子がやたら集まってくるこの現象、何なんですかね?」
さて、とにかく更に合流してきたのは、顧問教師・
それはそれとして、ルナの合宿計画に対し、呆れ顔の黎の反応とは。
「やれやれ、全く……江神の真っ直ぐな性質は美点だが、先の見通しが甘いのは改善の必要
「う、ううっ……黎ちゃん
「………ふーっ」
ルナが縋るような涙目で見上げると、黎はこめかみを片手で押さえ、首を横に振った後――ニッ、と笑い。
「あたし近々、宿直で泊まり込む予定があってな。
それに合わせて――合宿を監督してやれるぞ?」
「れっ、れっ……黎ちゃん
「いよっ、黎先生ッ! さすがッスうぃーーーーッス!」
「わたくし信じてましたわ、黎先生~~~~~!」
「……ハッ! れ、黎先生、ありがとうございま~す♡」
ルナ・カヲリ・花子……少し遅れてすみれに、やんややんやと持ち上げられ、黎が〝ガハハ〟と笑いつつ言う(もうちょいお淑やかに笑いなさいよね……)。
「ガハハ(やめろや)。さて、そうと決まれば――せっかくメンバーが集まっているのだ、合宿の準備のため買い出しと洒落こもうではないか」
「えっ、合宿の準備に買い出しを!? ……できらぁ!」
「なぜ一回驚いたんですか、ルナさん……でも確かにちょうど良いですね、行きましょうか♪」
ルナとすみれが頷き合うと、カヲリと花子も続く。
「そーだな! せっかくだし、アレもイッパイ買ってこうぜ……チ〇コを! だよな、おチン夫人!」
「ウオオ忘れかけてたのに掘り返してんじゃねーですわ! そして伏字やめーやチョコですわよチョコ! しばきますわよゴルァ!」
結果、何やかんやでメンバー勢ぞろいし、買い物もめっちゃ楽しかったようです。よかったな☆
そんなこんなで――次回、合宿――!
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