第23話 処刑人 ①
─ とある飲み屋 ─
酒を呑みながら、男たちは世間話に花を咲かせていた。
「竹藤屋が !?」
「おう、浅間神社
「そして、屍体の側に『処刑人推参』と書かれている紙切れが置いて有ったんだと !」
「処刑人って、近頃 噂の奴らか ? 」
「ヘッ、そりゃいい ! 高利貸しなんて、世の中から消えて欲しいと思っている奴は沢山いるはずだよな !」
そんな男たちに店の店主が、
「 ふん、バカなことをしおって !
この駿府の空の下には、沢山のアコギな高利貸しが居るんだぞ。
奴らの後ろには
一人や二人を殺ったところで変わるもんじゃねぇ……
かえって面倒なことに成るだけだよ !」
「「「「 ……………………」」」」
一人で黙って酒を呑みながら男たちの会話を聞いていた光矢衆の男は考えていた。
店主の言うことも間違いでは無いが、すでに
処刑人とやらは、よほど高利貸しに恨みがあるのかも知れないな。
これは、頭に報告しなければ !
◇◇◇◇◇
【左近side】
半兵衛さんの意見を取り入れて、吉良光矢衆の人には高利貸しをしている人たちを見張ってもらっているわ。
だけど、半兵衛さんに依頼した時には、すでに何人かの高利貸しの店主が斬り殺された後だった。
わたしが悩んでいると弥太郎さんが、
「何を悩んでおるのですか、左近殿。
嫌われ者の高利貸しを助ける必要は無いでしょう。
アコギな高利貸しをしているのですから、自業自得かと思うのですが……」
「それは違うわよ、弥太郎さん。
どんな人間だって生きる権利はあるの !
それに、戦乱の世が終わり、これからは太平の世が始まったのよ。
幕府の統治の為にも無法者は見逃してはダメなのよ !
民を法で守り、罪を侵したなら法で裁くようにしないと今川の世は続かないわよ 」
そう、だからこそ、逆恨みで『松の廊下』や『討ち入り』なんてさせないんだから !
「左近殿 !
そこまで
「……そう、わかってくれて嬉しいわ、弥太郎さん」
── 左近の思惑を完全に勘違いしている弥太郎
本来の歴史とは別の方向に向かうのであろうか ──
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