第12話 邂逅《かいこう》 ⑥
正成さんの案内で、ようやく赤穂屋敷に着いたわ。
どうやら見張りは居ないようね。
正成さんが正門の横にある使用人が使う出入口に、何かを差し込むと扉が開いた。
たぶん、正成さんは
今は
正成さんが猫の鳴き声をマネすると、屋敷から使用人が出て来た。
「拐かされた娘たちの場所まで案内してくれ 」
使用人さんは、黙って
ワ~オ。 やるわね、正成さん。
すでに使用人さんを味方にするなんて !
屋敷の奥にある離れに案内された、わたしは静かに離れの扉を開いて中を確認した。
十兵衛さんも正成さんも周りを警戒してくれているわ。
ふたりとも目付きが悪いから、わたしが娘さんたちを確認することになったわけ。
わたしが
「大丈夫、助けにきたわよ。
お願いだから物音をたてないで、わたし達の指示に従ってちょうだい 」
娘さん達は、口に手をあてて静かに喜びあった。
順番に娘さん達を部屋から出して使用人出入口に向かわせる。
お願いだから、ベタな物音をたてないでよ。
祈るような気持ちで、娘さん達を誘導していたら、母屋の方から一人の侍がフラフラと出て来た。
おそらくは寝ぼけているのか、ほろ酔いなのか、足取りがおぼつかない。
こっちを見んな~と願っていたら、逆に此方を見てしまった。
ボー としているのか、わたし達に気がつかない。
そのまま寝ぼけていてよ !
カッ ! と目が全開に開いて気がついた侍は、
「くっ くせ……
屋根の上から飛び下りてきた黒づくめの服を着た人に当て身をくらい気絶したわ。
アレは、もしかして忍者かしら ?
いかにも忍者らしき人たちが現れて、娘さん達を外に誘導し始めたわ。
アノ忍者の人たちは味方かしら ?
「こんな面白そうなことに誘わないなんて水くさいぞ、左近 !」
声のする方を見ると徳松さんが居た。
「徳松さんって、忍者の知り合いが居たの ? 」
わたしが聞くと徳松さんは、
「父上に頼んで、伊賀の忍びを借りたんだ 」
「伊賀って服部半蔵なの、徳松さん ! 」
ついつい興奮して徳松さんに迫ってしまうと、
「たぶん、左近の言う『服部半蔵』とは違うぞ。
お前の言う服部半蔵正成の
でも忍者って、カッコいいよね。
「何を期待しているか丸わかりだが、服部半蔵は武士だぞ 」
ええーっ !! 徳松さんの言葉にガッカリした、わたしを十兵衛さんや正成さんが慰めてくれた。
持つべきものは友達よね。
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