第9話 邂逅《かいこう》 ③


「双方、そこまでだ ! 刀を納めよ !」


 声のした方を見ると、しぶいオジサマが居たわ。


「ゲッ……おやじどの ……」


 十兵衛さんが、すごく嫌そうな顔をしている。

 つまり、あれが……


「 幕府大目付おおめつけ 柳生但馬守宗矩やぎゅうたじまのかみ むねのりだと、クッ !」


 悔しそうにつぶやいた浅野内匠頭。

 赤穂藩の連中が片膝を付いてひかえると、ジロリとわたし達の方を見て、


「十兵衛、説明せよ ! 」


 宗矩むねのりオジサマの言葉に、タジタジと成りながら説明する十兵衛さん。

 説明を聞いた宗矩オジサマは、


「双方、沙汰さたがあるまで、屋敷にて謹慎せよ !

 異論は認めない 」


 それでも納得しない浅野長友は、


但馬守たじまのかみさま。 もともとは、そちらの三人が当方に騒動を持ち掛けたのです。

 せめて、そちらのお三方の名前くらいは知りたいのですが、教えてくださらんか ? 」


 ゲッ、敵認定されたかしら。

 浅野内匠頭は、ギロリとわたし達……と云うより わたしをにらんでいる。


 ため息を吐きながら宗矩むねのりオジサマが、わたし達の正体をバラしてしまうと、


「おのれ、吉良め……」


 小声で言った浅野内匠頭の言葉が耳に入ってきた。

 ちょっと、それ逆恨みよ !


 ── ありゃりゃ、ヤラカシちゃったのう、ウッセイナァー。

 松の廊下の原因と成った『2度目の勅使饗応役』より前に、フラグを建てるとは思わなかったのじゃ !

 せっかく、別の世界線に転生させたのだから、頑張って欲しいのじゃ ! ───


 ちょっと、ユリリン !

 久しぶりに出て来たんだからさ、アンタも女神なら何とかしなさいよね !


 ── 妾は、女子高生と女神の二足のわらじで忙しいのじゃ !

 それに『天界規則』で、あまり現世に干渉することが出来ないので、自分で何とかするのじゃな ! ───


 ちょっとぉー、無責任なんですけどぉ !


 クレームを言ったけど返事が無い。

 もう、勝手なんだから !


 この後、わたしと徳松さんは、宗矩オジサマが手配した護衛に連れられて自分たちの御屋敷に向かった。

 十兵衛さんは、宗矩オジサマに『話しがある』と言われて居残りしている。

 わたしの方を見て、助けて欲しそうにしていたけど、無理 !

 わたし好みのイケオジに意見なんて、言えるワケないわ。


 悪く思わないでね、十兵衛さん。



 ※ 作者より


 BLには成りません。

 わたしには、ハードルが高過ぎます。



https://kakuyomu.jp/users/SHIGEMI/news/16817330666555307013


柳生但馬守宗矩のイメージイラストです。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る