全然シスコンとかでは無いんだけど
素材を売りに行くと、大体100万円位で売れた。
相変わらず凄い大金だな。……まぁ、全部紫永の学費と小遣いと俺たちの食費だったりで消えるんだけどな。
今のところ俺たちの生活費はあるし、この金全部を紫永の小遣いとして渡すわけじゃないから、自由に使おうと思えば使えるけど、無駄遣いしないに越したことはないしな。
「紫永、これ小遣いな」
そして、外に出た俺は静かに隣を着いてきていた紫永に向かってそう言いながら、素材を売って手に入れた金から1万円を抜いて渡した。
「……お兄ちゃん、いつも言ってるけど、私こんなに要らないよ。3000円くらいでいいよ? ……正直、1000円でもいいくらいだし」
紫永に小遣いを渡す時はいつもこんな感じのことを言ってくるけど、こういう時に言うセリフは決まってるんだ。
「紫永、これをよく見ろ。全部諭吉さんだろ? 1万円が最低額なんだよ」
まぁ、本当は50万くらい小遣いとして渡したいんだけど、そんなことをしたら流石に怒られることくらい俺でも分かるからな。
「ほら、金をこんな見せびらかすように持ってたら危ないから、早くしまってくれ」
「……うん。分かった。いつもありがとね、お兄ちゃん」
俺がそう言うと、紫永はいつも通り渋々ながらも頷いてくれて、お礼を言いながら金を受け取ってくれた。
「素材の換金も出来たし、さっさとラーメン、食いに行くか」
まだ少し申し訳なさそうな顔をしている紫永に向かって俺はそう言った。
紫永はしっかりしてて俺の妹か疑わしいくらいにいい子だけど、変なところで単純なんだ。
「うんっ」
だから、好物のものを食べに行くと言えばこうやって元気になる。
ふっ、紫永が俺の事をよく知ってるように、俺も紫永のことをちゃんと知ってるんだよ。
そう思いながらも、そんなことを口に出すことはせずに、俺は紫永と一緒にラーメン屋に向かった。
あれだよな。
紫永は妹だし俺はなんとも思わないけど、性格とかめちゃくちゃいい子なのに見た目ギャルでラーメンとかそういうのも普通に好き。……これ、めちゃくちゃギャップ萌えってやつだよな。
あんまりそういうのとか考えたこと無かったけど、紫永って絶対学校でモテるよな。……付き合ってる奴とか居ないのかな。……もし居るのなら、最低でも俺に勝てるくらいには強くあって欲しいよな。無いとは思うけど、なにか事件に巻き込まれたりした時に助けられるように。
ダンジョンなんてものがあるこんな世の中なんだ。今のところ実例があるわけじゃないけど、いつ魔物がダンジョンから溢れ出てくるかなんて誰にも分からないんだし、やっぱり俺より強いのは最低条件かな。
「そういえば、学校とか、どんな感じだ?」
そう思った俺は、それとなく紫永に聞いてみることにした。
「え? 急にどうしたの? お兄ちゃん」
「いや、思えば学校のこととか聞いたこと無かったし、急に気になったんだよ」
正確には恋人とか好きな人がいるのかが気になってるんだが、まぁ似たようなもんだろ。……あ、ちゃんと友達がいるのかも気になるな。
「んー、友達はいるし、勉強もついていけてるし、楽しいよ? お兄ちゃんのおかげだね。ありがとう、お兄ちゃん」
どうしよう。全然シスコンとかでは無いんだけど、うちの妹が可愛すぎる件について。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます