第3話 タイプ
(くっくくく)
午前十時前の駅前広場にて。
監視カメラに映らない場所で佇む、チェック柄のスーツ姿の男性。
お互いを見つける目印である赤いハンチング帽を被る。
職業、詐欺者。
あちらこちらの人間レンタルサービスに登録して、金額表が提示されている人間レンタルサービスの登録者ならば安心だと信じている利用者から、秘かに金を吸い上げる。
人間レンタルサービスに登録する際、身分証明書が不要なところを選ぶ。
嘘の名前や住所、電話番号で簡単登録なのだ。
加えて、人間レンタルサービスの利用者と会っている時も、写真や動画などの撮影が禁止されているので姿が残る事もなし。
なので、被害が露見したとしても、警察も追う事はできない、という事だ。
(くっくくく)
今回のターゲットは、同じ男性。
要望。友達としてあちこち歩いて回って一緒に遊ぶ。
懸念事項。会う回数を重ねるごとに、光り始めるらしい。
(くっくくく。つまり、会う回数を重ねるごとに、貴金属類を身に着けて来るってこったろ)
ボンボンで金持ちだと誇示したいのだろう。
くっくくく。
笑いが止まらない千田貴晴。
もう少しで大金が手に入るのだ。
「あ。お待たせしました。人間レンタルサービスをお願いした、
(おっと。やべえやべえ)
大金が入る喜びに浮かれて、ターゲットに先に話しかけられるという失態を侵した千田貴晴が挽回すべく、営業スマイルを浮かべて挨拶を返そうとした時だった。
「………」
ターゲットである美紀彦の顔を見た瞬間。
千田貴晴は声を失った。
(………あれ。やべえ。こ、こいつ)
めちゃくちゃタイプじゃねえか!
(2023.9.25)
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