第2話 何度も




 最初は無料で会ってくれるが、次からどんどんどんどんお金を要求されて、最終的には身包み全部奪われる。

 そんな一部のネットの情報に頷き、最初から明確に金額表が提示されている人間レンタルサービスを利用する事にした。


「えーと。なになに。一時間二千円。交通費やその他の諸経費もこちら持ち。完全予約制。延長は禁止。肉体的接触は共に禁止。写真撮影動画など姿が残る行為は共に禁止。か。うんうん。えっと。これが。レンタルできる人の一覧表。うん?あれ?」


 ぼくは首を傾げた。

 レンタルできる人の一覧表には、恐らく本人が書いたのだろう似顔絵と自己アピールが書いているだけで、本人の写真が載っていなかったのだ。


「なるほど。今はこんなところでもプライバシーが守られているのか。ふむふむ。えーっと。じゃあ。あ。要望も書けるんだ。よし」


 ぼくはレンタルできる人の一覧表を何度も何度も、何日も何日も見続けて、要望もこれでいいか何度も何度も読み返して、書き直して、金額表も注意事項もレンタルする流れもホームページの隅から隅まで何度も何度も読んで、そして。

 一か月後。


 ぼくは、午前十時、待ち合わせ場所に立っていた。











(2023.9.24)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る