7件目のお悩み ~少年たちとO・T・O・3~

───【登場人物(♂3:♀0:不問2)】───

緒方(♂)

轟(♂)

大清水(♂)

おざわ(♂少年)

たけした(♂少年)


───【本編】───

(少年が二人、公園でヒーローごっこをしている)


たけした

「くらえーっ、ジャスティスギガパンチ!!」


おざわ

「ぐわーっ、やられたー!」


たけした

「はっはっは! 正義は勝つ!

 ……はー、楽しいね! もう一回やろうよ、おざわ君!」


おざわ

「……ねえ、たけした君」


たけした

「何?」


おざわ

「こ、今度はボクがジャスティスヒーローウォリアーをやってもいいかな……?」


たけした

「えー……なんでー? オレやられ役なんてやだよー。おざわ君がやられ役やってよー。」


おざわ

「だ、だって!さっきのでカオス軍団の幹部の3人目だよ!?

 幹部一人に4人の部下がいるのも全部やったから……」


たけした

「たくさんやったね!」


おざわ

「15回だよ!?」


たけした

「おざわ君わかるの!? すごーい!」


おざわ

「え、そうかな? えへへ……」


たけした

「それじゃあ、4人目の幹部もやろうよ! オレがジャスティスヒーローウォリアーをやるからさ!」


おざわ

「だから、1回ぐらいボクにもやらせてよ! ねえ!」


たけした

「やーだー!」


おざわ

「やーらーせーてーよー!!」


たけした

「やーだー! おざわ君にはやられ役が似合ってるんだよ!」


おざわ

「そ……そんなことないもん……!」


たけした

「えー、泣かないでよー。オレわるくないじゃんー。そんなんだからやられ役なんだよー?」


おざわ

「そんなこと……そんなこと……! 」


緒方

「お困りですか、子供たち!(子供たち)(こどもたち)」


たけした

「うるっさ!!」


「お困りならば、いざ行かん!(いざ行かん)(いざゆかん)」


おざわ

「だ、誰……?」


大清水

「ドゥエドゥエドゥエジャキーーーーン!!!」


(各自、名乗りながら滑り台を滑ってくる)


緒方

「男子たるもの!」


「誰でもヒーローになりたい!」


大清水

「ならば我らが助けましょう!!」


緒方

「オー!」


「ティー!」


大清水

「オー!」


緒方

「緒方!」


「轟!」


大清水

「大清水!」


緒方

「三人組ッ!!」


「略して我ら!! 1、2、せーの!! 」


緒方・轟・大清水

O・T・O・3おとうさん!! 」


たけした

「へんなおっさん来た!」


おざわ

「けいさつ呼ばなきゃ!!」


緒方

「待たれよ少年たち!」


「ヒーローがやりたくて困っているのだろう?」


大清水

「やられ役がいなくて困っているのだろう?」


たけした

「知らない大人と話すなっておかあさんが言ってた!」


「君たちのママには私がきちんと話を通しておいたぞ」


おざわ

「ええっ!?」


(公園のベンチでニコニコほほ笑む母親たち)


たけした

「……ほんとだ、こっち見て笑ってるぞ」


おざわ

「じゃあおじさんたちは、ママたちのお知り合いなの?」


緒方

「初対面である!」


たけした

「どういうことなの!?」


大清水

「これが大人のコミュニケーションである!!」


おざわ

「ええ……」


「細かいことは良いのだ。さておき、要するに悪役が必要なのだろう?」


大清水

「それならば、我らが悪役となって相手してやろう」


たけした

「ほんと!?」


おざわ

「でも、おじさんたち3人じゃん! ボクら2人だし、まだ子供だから勝てるわけないよ!」


緒方

「そこはぬかりなし!」


「相手をするのは、私一人である!」


たけした

「えー、じゃあ残りの二人のおじさんは何するの?」


緒方

「私はナレーションと実況」


大清水

「そして私は効果音!」


おざわ

「ええ……」


「なので二人はジャスティスヒーローウォリアーとしてこの私、カオス大帝と存分に戦うがよい!」


たけした

「ジャスティスヒーローウォリアーは二人いないもん!」


おざわ

「いないもん!」


大清水

「デーレーレーレー……(不穏な感じ)」


緒方

『ジャスティスヒーローウォリアーは、カオス大帝の猛攻に苦戦していた……』


たけした

「えっ始まった!?」


緒方

『一人では勝てないかもしれない、そう思った矢先に突然ワームホールが開き、

 別時空のジャスティスヒーローウォリアーがやってきたのだ!!』


大清水

「ポゥワポゥワポゥワドシュウウーーン」


おざわ

「えっ……えっ?」


緒方

「名乗るのだ! 別時空のヒーロー!」


おざわ

「あっ……うん!世界の平和を守るため、悪しき行いを許さない!

 別時空からやってきた正義のヒーロー戦士!

 ジャスティスヒーローウォリアー!!」


緒方

「アナザー!!」


おざわ

「あ、アナザー!!」


たけした

「オレは!?」


緒方

「君はジャスティスヒーローウォリアーだ!」


たけした

「えっ、あっ、うん! ワームホールから出てきたお前は……俺か?」


おざわ

「お前がもう一人の俺だな! 俺はアナザー!」


たけした

「そうか! よろしくなアナザー!」


大清水

「ジャァキィィーーーン!!(決めポーズ)」


「フン……ひとり増えようと大した差はない。

 このカオス大帝たる私の猛攻を受け、宇宙のチリとなってしまうがいい!」


おざわ

「ウォリアー、ここは俺がいく!」


たけした

「いや、ここは俺がやる! アナザーは下がってろ!」


おざわ

「いや俺が行く!」


たけした

「俺だって!」


おざわ

「ボクがいくの!」


たけした

「オレがいくんだ!!」


「仲間割れをしている暇は無かろう!! くらえ! カオスビーム!!」


大清水

「ピキュウウウーン!! ズギャアアアアン!!」


緒方

「二人のジャスティスヒーローウォリアーが争っている所をカオス大帝のカオスビームが直撃してしまった!

 二人は大丈夫なのか!」


おざわ

「グワーッ!」


たけした

「ぐ、グワーッ!」


おざわ

「くっ……これがカオス大帝の力……!」


「ハッハッハッハ! 他愛もない!

 所詮ひとり増えたところでザコはザコだということだ!

 二人が協力してかかってこないかぎり、このカオス大帝は倒せないぞ!

 そう、『二人が協力してかかってこないかぎり』な!

 ハァーッハッハッハッハ!!」


たけした

「くうっ、さすがカオス大帝、強い……!」


おざわ

「ウォリアー! ここは争っている場合ではない! 協力して、あのカオス大帝をやっつけるぞ!」


たけした

「わかった!」


大清水

「ピカーーーーッ!!」


緒方

「二人の心が通ったその時! ジャスティスパワーが真の力を発揮した!

 二人のジャスティスヒーローウォリアーが手をつなぎ!

 ジャスティスツインギガパンチを放つことで!

 カオス大帝を倒すことができるぞ!!」


「所詮小物のやることよ! かかってこい! 受け止めてくれよう!

 二人が手をつないで攻撃する、ジャスティスツインギガパンチというものをな!!」


たけした

「やるぞ、アナザー!」


おざわ

「やるぞ、ウォリアー!! うおおおおおお!!」


大清水

「キュインキュインキュインキュイン」


緒方

「二人のつないだ手にジャスティスパワーが溜まってくる!」


たけした

「ジャスティス!! ツイン!!」


おざわ

「ギガ!! パンチ!!」


大清水

「ギュピィーーーーン!! ドオオーーーーーーン!!!」


「グワアーーーーーーッ!!!!

 こ……これが……正義の光の力……!

 だが……我は滅びぬ……!

 いつかまた……貴様たちの前に……現れよう……!!

 その時まで……つかの間の平穏を……グ、グオオオ……!!」


大清水

「シュワアアアアア……」


たけした

「悪の行いあるところ!」


おざわ

「正義はかならずやってくる!」


たけした

「そして正義は! 正義の戦士は!」


おざわ

「どんな悪にも! かならず勝つ!!」


たけした

「ジャスティスヒーローウォリアー!!」


おざわ

「ジャスティスヒーローウォリアー!!」


緒方

「大・団・円!!」


大清水

「テテテテーレーレー!!(何か幸せなジングル) 」


たけした

「たのしかった!!」


おざわ

「たのしかった!!!」


緒方

「そうだろうそうだろう」


「楽しかったなら何よりである」


大清水

「我らも頑張った甲斐がある」


たけした

「おじちゃんの悪役もかっこよかったよ!」


おざわ

「そうそう、かっこよかった!」


「ハッハッハ、そうだろう、そうだろう」


緒方

「良いか少年たちよ」


「物語たるもの、すべての役には意味がある」


大清水

「すべての役に、それぞれ物語がある」


緒方

「ヒーローも悪役も、やられ役ですら物語がある」


「その役が持つ物語を精一杯表現すればよい」


大清水

「そうすれば、カッコよさはおのずと付いてくるであろう」


たけした

「よーし、おざわ君! つぎはオレが悪役やる!」


おざわ

「えー!? ボクも悪役やる!!」


緒方

「ほらほらケンカをするな! ふたり仲良く遊ぶのだ!」


「これにてこれにて一件落着」


大清水

「我らが仕事も一件落着」


たけした

「たのしかったー!」


おざわ

「ありがとー!」


緒方

「礼には及ばぬ、少年たちよ」


「やるべきことをやったまで」


大清水

「おっと最後に一言を」


緒方

「少年たちよ!」


「遊び相手が欲しければ!」


大清水

「我らはいつでもやってくる! それではこれにて──」


たけした

「あ、待って!」


大清水

「ぬぅん」


たけした

「おじさんたちが最初にやってたやつやりたい!」


おざわ

「あ、やりたい!」


緒方

「良いのではないか大清水」


「彼らも良い名前ではないか。時期O・T・O・3おとうさん有望株だぞ」


大清水

「よおし、ここはいっちょ一肌脱いでやろう。ゆくぞ少年たち! 」


おざわ

「オー!」


たけした

「ティー!」


大清水

「オー!」


おざわ

「おざわ!」


たけした

「たけした!」


大清水

「大清水!」


おざわ

「三人組!」


たけした

「略して我ら!」


大清水

「1、2、せーの!」


おざわ・たけした・大清水

O・T・O・3おとうさん!! 」


──────────


緒方

O・T・O・3おとうさん!!!」


「それは悩める人の前に!!」


大清水

「助けを求めるあなたのそばに!!」


緒方

「いつでもどこでも駆けつける!!」


「次に我らが現れるのは!!」


大清水

「あなたのお家かもしれない!! それではこれにて!! 1、2、せーの!!」


緒方・轟・大清水

「失礼!!!!!」

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