6件目のお悩み ~先生とアシとO・T・O・3~

───【登場人物(♂3:♀2)】───

緒方(♂)

轟(♂)

大清水(♂)

先生(♀)

アシ(♀)


───【本編】───

(部屋の中。先生とアシが二人で漫画を描いている)


アシ

「……先生」


先生

「何」


アシ

「間に合いそうですか?」


先生

「いらん口を叩く前に手を動かす! はいコレ! ペン入れ終わったから仕上げおねがい!」


アシ

「あ、はい! えーっと、ゴムかけと……」


先生

「バツ印がベタ、三角は60ライン30パー、白丸は30ライン10パー、

 矢印は上と下に数字が書いてる通りにグラデトーン!」


アシ

「は、はい! ……あの、先生」


先生

「ペン入れしながらでいい?」


アシ

「はい。この『おいしそうな料理』って」


先生

「あー、なんかいい感じにお願い。」


アシ

「私がですか!?」


先生

「だいじょうぶ あなたならかけるわ しんじてる」


アシ

「こっち見て言ってください!」


先生

「私はペン入れで忙しいから! というか、この時間から締切に間に合わすにはそれが一番効率がいいのよ!」


アシ

「そもそもですよ」


先生

「手も一緒に動かしてちょうだい! おねがい!」


アシ

「わかってます! そもそも先生がこんなにギリギリなスケジュールになるまで原稿を進めなかったから」


先生

「私だけのせいじゃないわよ!

 まさかアンタ以外のアシがみんな辞めるだなんて……ショックで1日寝込んでしまったじゃないの……。

 でも、アンタが残ってくれて、本当助かってるわ」


アシ

「私は地獄ですけどね!  というか、他のアシさんが居てもギリギリだったでしょ?」


先生

「今は目の前の締切だけ見ましょう?」


アシ

「目が泳いでますよ? 締切の方見るなら、ちゃんと見てくださいね?」


先生

「うえー……アシちゃんが厳しい……」


アシ

「はあ……ほんと、誰でもいいから助けてほしいですね……」


先生

「そうね……猫の手も借りたいわね…… 」


緒方

「お困りですか、先生方!(先生方)(せんせいがた) 」


「お困りなれば、いざ行かん!(いざ行かん)(いざゆかん) 」


大清水

「ゴロニャーン!」


(三人、部屋の入口から入ってくる)


緒方

「締め切り間際の漫画家よ!」


「徹夜続きの漫画家よ!」


大清水

「ならば我らがアシしましょう!」


緒方

「オー!」


「ティー!」


大清水

「オー!」


緒方

「緒方!」


「轟!」


大清水

「大清水!」


緒方

「三人組ッ!!」


「略して我ら!! 」


緒方・轟・大清水

O・T・O・3おとうさん!!! 」



(間)




「略して我ら!!」


緒方・轟・大清水

「おとう── 」


先生

「うるっさい!!!」


緒方

「ぬぅん」


「聞こえておるではないか」


大清水

「聞こえておるなら反応すればよいものを」


先生

「それどころじゃないのよ今! 生活かかってる大事な時間なの! わかる!?」


アシ

「先生待って待ってそうじゃなくて! いや先生の言い分も分かりますけど、そもそも誰ですかあなたたち!」


緒方

「困っているのだろう」


「締切間際なのだろう」


大清水

「猫の手も借りたいのであろう」


緒方

「なので私がアシスタントゥ」


「私がその他小間使い」


大清水

「そして私がスゥーパァーモデェゥ!」


先生

「……いや、確かに猫の手も借りたいとは言ったけど、さすがに素人の手伝いは要らないわ。

 私もアシちゃんも、今から技術を教える時間はないの。即戦力って言うなら話は別──」


緒方

「友人の作る同人漫画、手伝い続けて早7年」


先生

「緒方先生、そこの机を使ってください。」


緒方

「了解!」


アシ

「緒方先生、緑茶かコーヒー要りますか?」


「そのような小間使いは私が行おう。アシ殿らは、緒方とともに引き続き漫画の執筆にあたられよ」


アシ

「あ、ハイ。

 それじゃあそっちの台所の棚の中にインスタントコーヒー入ってるので、こちらの緒方先生へお願いします」


「了解! 緒方だけと言わず全員分用意しよう! その他、買い出し等あれば何でも頼むがよい!」


先生

「それで、残ったあなたは?」


大清水

「書きづらい構図などあれば、いかようなポージングでも対応してみせよう!

 この磨き上げられた完璧な肉体美で! さあ! さあ!」


先生

「近い近い熱い! でもまあ……助かるわね。地味に。下書きを雑に済ませちゃった構図とかあるし」


「コーヒーが入りましたぞ!」


先生

「お、ありがとー! 助かるわぁ」


「この程度、朝飯前である」


大清水

「今の時間からしてもまさに朝飯前であるな!」


先生

「なんか寒くなってきたわね」


アシ

「暖房付けましょうか」


大清水

「んっふぅん。これは手厳しい」


緒方

「納期が近いので笑っている余裕がないのだ」


大清水

「なるほど」


アシ

「いや……」


「ところで、

 今回のご提供によりインスタントコーヒーの残りが少なくなってしまったので

 私は在庫の補充に向かうとしよう。

 何か他に欲しいものはあるか?」


先生

「うーん……とりあえず今は大丈夫かな?」


アシ

「私もとりあえずは大丈夫です。

 そのコーヒーは、いつも近くのコンビニで買っているのでそこで探してもらえれば」


「了解!健闘を祈るぞ、緒方! 大清水!」


緒方

「まかされよ!」


大清水

「まかされた!」


(轟、買い物に出かける。ダッダッダッダ──)



(轟、買い物から帰ってくる。──ダッダッダッダ)


「ただいま戻ったぞ!」


先生

「あ、おかえりー。ありがとー。」


アシ

「緒方先生、次はこちらの原稿です。黒丸が──」


緒方

「なるほどなるほど、確かにうけたまわった。先ほどの原稿は、こちらに仕上げてあるので確認を頼む」


アシ

「さすがです先生!」


「うむうむ、緒方は問題なく手伝えているようだな! ……して、大清水は何を?」


大清水

「ハンドモデルである」


先生

「いやー、自分かアシちゃんの手しかなくて困ってたのよ。

 自分のは見づらいし、アシちゃんの手を参考にするとアシちゃんの作業が止まっちゃうし。

 だからほんと、地味に助かってるわ。地味に」


大清水

「地味に助けている」


「助けになっているなら良し!」


先生

「ああそうだ、轟さん。ちょっと小腹が空いちゃったので、ちょっとした夜食と、

 あと簡単につまめそうなものを買ってきてもらえるかしら?」


アシ

「帰ってきて早々ですみませんが、お願いできますか?」


「ふむ。品物はこちらで判断してよろしいか?」


先生

「大丈夫ー。嫌いなものはないから」


「了解!引き続き健闘を祈るぞ、緒方! 大清水!」


緒方

「まかされよ!」


大清水

「まかされた!」


(轟、買い物に出かける。ダッダッダッダ──)



(轟、買い物から帰ってくる。──ダッダッダッダ)


「焼きそばパンとチョコ菓子である!糖分を摂取してエネルギーに──」


大清水

「見るがよいこの鍛え上げられた肉体美!!」


「大清水!!!」


大清水

「ぬぅん」


「何をやっているのだ、うら若き乙女たちの前でブーメランパンツ一枚になって!!教育に悪いぞ教育に!」


大清水

「先生方からの依頼であるから仕方ないであろう」


「そ、そうなのか……?」


アシ

(カリカリカリカリカリカリ)


緒方

(カリカリカリカリカリカリ)


先生

(カリカリカリカリカリ)

「あ、轟さんすいませんちょっとそこどいてくれます?

 大清水さんの大清水がちょうど隠れちゃって」


「ぬ、ぬぅ。これは失礼した」


先生

「あ、それと。帰ってきて早々ホント申し訳ないんだけど、

 ペース的にちょっと眠気がギリギリになりそうだから何か効きそうなエナジードリンク買ってきてくれます?」


「品物はこちらで判断してよろしいか?」


先生

「大丈夫ー。眠気が覚めれば何でも」


「了解!決して間違いの無いようにな、緒方! 大清水!」


緒方

「まかされよ!」


大清水

「まかされた!」


(轟、買い物に出かける。ダッダッダッダ──)




(轟、買い物から帰ってくる。──ダッダッダッダ)


「超びっくり眠気ボンバードリンクである! これにて眠気も一件落着──」


緒方

『その男の麗しき宝石のような手は相手の鎖骨をなぞり

 美しく鍛え上げられた彫刻のような肢体を滑りながら

 相手の繊細な秘部へと伸びてゆく──』


大清水

「オッフゥン……緒方……」


緒方

「大清水……」


「コラーーーーッ!!!」


緒方

「ぬぅん」


大清水

「良い所なのだぞ轟」


「決して間違いのないようにと言ったはずであろうが!!

 何をやっているのだうら若き乙女ふたりの前でブーメランパンツ1枚とブーメランパンツ1枚でくんずほぐれつしおってからに!!」


緒方

「先生方からの依頼であるので」


大清水

「仕方ないであろう」


「そ、そうなのか……?」


先生

(ガリガリガリガリガリガリガリガリ)


アシ

(ガリガリガリガリガリガリガリガリ)


「大丈夫か!? 何か原稿とは別の物が出来ていないか!?」


先生

「ところでアシちゃん、緒×大お×おお?」


アシ

「ベースは緒×大お×おおですけど、

 私はリバもいける側というか一見攻めに見える人が受けをさせられてるのもおいしく食べられる人なので、

 大×緒おお×おもアリだと思います。しいて言うなら緒×大×緒お×おお×おですかね」


先生

「あ、分っかる~ぅ緒×大お×おおときどき大×緒おお×おみたいな?」


「ナマモノカップリングはいろいろ危険なのでそこまでにしておいてもらいたい!! 」


(間)



先生

「おぉぉわったァァ!!」


アシ

「いざ! 入稿!」


緒方

「ぬぅん!」


「こ、これにてこれにて一件落着」


大清水

「我らが仕事も一件落着」


先生

「いやー、助かりました。

 あなたたちのおかげでなんとか締切に間に合ったし、色々モチベーションも頂いちゃったし」


緒方

「礼には及ばぬ、先生方よ」


「やるべきこと?をやったまで」


大清水

「おっと最後に一言を」


緒方

「先生方よ!」


「手助けが欲しければ!」


大清水

「我らはいつでもやってくる!!」


先生

「マジですか緒方先生! もう常にヘルプですけど!」


アシ

「ほどほどにしましょう。 ちゃんとスケジュール立てて」


先生

「えー……」


アシ

「えーじゃありません!」


緒方

「それでは我らは失礼する」


「お困りならばすぐに呼べ」


大清水

「ゴロニャーン!!」


(3人、ドカドカと玄関から出ていく)


先生

「……マジで呼んじゃだめ?」


アシ

「とてもありがたいけど、最終手段にしましょう。じゃないと我々も成長できませんので」


先生

「もー、アシちゃん厳しいんだから……」


──────────


緒方

O・T・O・3おとうさん!!!」


「それは悩める人の前に!!」


大清水

「助けを求めるあなたのそばに!!」


緒方

「いつでもどこでも駆けつける!!」


「次に我らが現れるのは!!」


大清水

「あなたのお家かもしれない!! それではこれにて!!」


緒方・轟・大清水

「失礼!!!」

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