4件目のお悩み ~パパと娘とO・T・O・3~

───【登場人物(♂4:♀1)】───

緒方(♂)

轟(♂)

大清水(♂)

娘(♀)

パパ(♂)


───【本編】───

(父と娘、公園にて)


「パパー! こうえんであそぶの、たのしいね!」


パパ

「そうだなー、可愛い我が娘よ」


「パパー!」


パパ

「なんだー?」


「ジュースかってくれてありがとー!」


パパ

「はーい、どういたしましてー。ちゃんとありがとうって言えてえらいぞー」


「やったー! じゃあ、かえったらアイスたべていいー?」


パパ

「えー? しょうがないなー、1本だけだぞ?」


「やったー! パパだいすきー!」


パパ

「えっへっへ、ありがとうなー、うれしいよ」


「パパあのね、わたしね、おおきくなったらパパとけっこんする!」


パパ

「そっかー! ありがとなー!でもパパにはもうママがいるからなー!

 ママはきらいかい?」


「ママもだいすきー!」


パパ

「そっかそっかー!」


「でも、おっきくなったらパパとけっこんしたいなー? だめかなー?」


パパ

「そっかそっかー、ありがとうなー。」

(……いや、まあ、子供の言うことだって話なんだけど

 もし? 万が一? このまま大きくなったら?

 俺はどうやって返事すればいいんだ?

 ああー分からん! 誰か助けてくれ!)


緒方

「お困りですか、若者よ!(若者よ)(わかものよ)」


パパ

「!? 何だ!?」


「お困りならば、いざ行かん!(いざ行かん)(いざゆかん)」


パパ

「どこ!? どこから聞こえてくるんだ!?

 分かった!

 あっちの滑り台の上だ!」


大清水

「ゴメィトゥ!!!」


(各自、名乗りながら滑り台を滑ってくる)


緒方

「子育てに悩む父親よ!」


「将来を悩む父親よ!」


大清水

「ならば我らが教えましょう!!」


緒方

「オー!」


「ティー!」


大清水

「オー!」


緒方

「緒方!」


「轟!」


大清水

「大清水!」


緒方

「三人組ッ!!」


「略して我……ら……」


大清水

「どうした、締まらないではないか轟」


緒方

「ケツの穴みたいに締めていけ轟」


「二人とも、アレを見るのだ」


大清水

「ぬぅん? 」


「わー……(期待のまなざし) 」


緒方

「なるほどなるほど?」


「非常に期待されているぞ二人とも」


大清水

「ここは完璧にキメねばならぬな」


緒方

「よーしそれならば、『1、2、せーの、O・T・O・3おとうさん!』でキメよう」


「了解! では行くぞ! ウォッホン!略して我ら! 1、2、せーの! 」


緒方・轟・大清水

O・T・O・3おとうさん!! 」


「わーー!! ぱちぱちぱちぱちー!!」


緒方

「よし成功だな轟!」


「そうだな大清水!」


大清水

「うむ! では我らはこれにて失礼するか」


パパ

「いや待って待って待って!!!」


緒方

「どうしたパパ」


「何か問題でもあるのかパパ」


大清水

「可愛い娘さんを連れてらっしゃるではないかパパ」


パパ

「ああいや待ってとは言ったけど、近い近い怖い! いや、えっと、誰だかわからないけど」


緒方

O・T・O・3おとうさん!!」


パパ

「あ、そ、おとうさん!おとうさん、さん、は、俺の悩みを解決しに来たんじゃ……」


「大した悩みではないではないか」


大清水

「幸せな悩みではないか。応援するぞ」


パパ

「あ、ありがとうございます! じゃなくて!」


緒方

「なあに今だけだ」


「いつかはこんなこと言っていたなんて忘れるであろう」


大清水

「今はただ! 娘に愛されていることをひたすら堪能するのだ!」


パパ

「ま、まあそうかもしれないけど……うーん……」


「パパなにかなやんでるのー?」


パパ

「あ、え、そうね?」


「そっかー! がんばってね!」


パパ

「あ、うん! そうだね! ありがとうね!」


緒方

「そこまで言うなら仕方ない、その悩み、我らが解決してやろうではないか」


「そこのお嬢ちゃん」


「はーい!」


大清水

「幼稚園では好きな子はいないのかい?」


パパ

「ブッコんできた!」


「いなーい」


緒方

「同じ組のヤッくんとかどうだ」


「そんなひといなーい」


「フッくんとかどうだ」


「いなーい」


大清水

「モッくんは?」


「ダサーい」


緒方

「ぬぅん、手ごわいな」


パパ

「名前、適当に言いすぎじゃない……?」


「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんが大きくなったときはパパはもう我らぐらいの年齢になっているんだぞ」


大清水

「今みたいにまだ若さが残る青年ではなくてダンディ風味溢れる中年男性になるのだぞ、それでもよいのか?」


「おじちゃんたちおもしろいからすきー!」


大清水

「ぬわーっ! 尊し!」


緒方

「大清水ーっ!」


「気を確かに持つのだ大清水ーっ!」


大清水

「はぁ、はぁ……危なかった……手ごわいな……若者よ、

 これは将来お前より年上の彼氏を連れて来るやもしれぬな」


パパ

「ええ……それはやだなあ……いやでも、娘が選んだ相手なら……ぬうう……」


「わたしはパパとけっこんするよ?」


パパ

「そーっかー! ありがとなー! どうすればいいんだー!」


緒方

「そこな娘よ」


「なにー?」


「パパのすきなところはどこだい?」


「えっとねー、

 おとななところとー、

 いっしょにあそんでくれるところとー、

 ジュースかってくれるところとー、

 アイスかってくれるところとー、

 おもちゃかってくれるところとー、

 おようふくかってくれるところとー、

 あとー、えーっと……」


パパ

「あーそうね! わかったわかったよ! ありがとう!そうだね! パパいっぱい買っちゃうね!」


「うん!」


大清水

「ということだそうだ若者よ」


緒方

「このまま娘に貢いで好感度を稼ぎ続けるもよし」


「少し厳しくして娘に新しい相手が見つかるのを待つも良し」


大清水

「まあ羽振りの良いオジサマを連れてくる可能性は否定しないぞ」


パパ

「いろいろ悩むなあ……」


緒方

「大いに悩め、若者よ!」


「これにてこれにて一件落着」


大清水

「我らが仕事も一件落着」


「いっけんらくちゃく!」


パパ

「俺は悩み続けるんだよなあ……まあ、ともあれ、ありがとうございます」


緒方

「礼には及ばぬ、若者よ」


「やるべきことをやったまで」


大清水

「おっと最後に一言を」


緒方

「若者親子よ!」


「将来に悩みを持ったなら!」


大清水

「我らはいつでもやってくる!」


「やったー!」


緒方

「それでは我らは失礼する」


「お困りならばすぐに呼べ」


大清水

「失礼ッ!! 」


(ドカドカと公園から去る音)


「たのしかったねー!」


パパ

「……そ、そうだねー! 楽しかったねー!」


「また会えるかなー?」


パパ

「どうだろねー?……まあ、今考えすぎてもあんまり意味ないか……。

  ……でも、俺より年上の彼氏を連れてくるのは嫌だなあ…… 」


──────────


緒方

O・T・O・3おとうさん!!!」


「それは悩める人の前に!!」


大清水

「助けを求めるあなたのそばに!!」


緒方

「いつでもどこでも駆けつける!!」


「次に我らが現れるのは!!」


大清水

「あなたのお家かもしれない!! それではこれにて!!1、2、せーの!!」


緒方・轟・大清水

「失礼!!!!!」

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