3件目のお悩み ~セブンティーンとO・T・O・3~

───【登場人物(♂4:♀1)】───

緒方(♂)

轟(♂)

大清水(♂)

女の子(♀)

男の子(♂)


───【本編】───

女の子

「あっ……、い、いらっしゃい、どうぞ、上がって」


男の子

「あっ、うん……お、おじゃまします」


女の子

「ち、散らかってたらごめんね……? 頑張って片づけたけど……」


男の子

「い、いやいやいや大丈夫! きにしないで!」


女の子

「う、うん!

 えっと、こっちが私の部屋。どうぞ、入って。

 適当な所に座って待ってて。

 今、お茶とお菓子持ってくるから」


男の子

「あっ、うん、ありがとう。

 ……(すぅー、はぁー(※深呼吸))」


女の子

「おまたせ。……大丈夫? 緊張してる?」


男の子

「えっ!? ……まあ……うん……女の子の部屋に入るの、初めてだから……」


女の子

「そ、そっか……私も、男の子を部屋に入れるの、初めてだから……

 とっとにかく! まずはリラックスしよっか! お互い!」


男の子

「そ、そうだね!」


女の子

「とりあえず、はい、お茶とクッキー。市販のものだけど」


男の子

「ううん、ありがとう。

 ……おいしい!」


女の子

「ほんと!? ……ん、おいしい。よかったー。

 おいしくなかったらどうしようかと思ってた」


男の子

「ははは……。」


女の子

「……」


男の子

「……」


女の子

「あ、あの、あのね?」


男の子

「えっ、な、何?」


女の子

「こ、こんなこと言うのも何なんだけど……」


男の子

「う、うん……」


女の子

「今日ね……パパもママも、帰ってくるのが遅くなるの」


男の子

「えっ!? そ、そうなんだ!」


女の子

「う、うん……」


男の子

「……」


女の子

「……」


男の子

(え、えーっ!? いや確かに僕たち付き合ってるけど、 でも今の話って、つまり、アレなのかな? アレだよね!?)


女の子

(う、うわーっ! 言っちゃった! 言っちゃったよ! 浮かれてないかな!?

 変な風に思われてないかな!?)


男の子

(こんなとき、どうすればいいの……誰か教えて!)


女の子

(これでいいのかな……誰か教えて!)


緒方

「お困りですか、若者たちよ!(若者たちよ)(ものたちよ)」


男の子

「えっ何!?」


「お困りならば、いざ行かん!(いざ行かん)(いざゆかん)」


女の子

「どこ!?どこから聞こえてくるの!? 」


(玄関のチャイムの音)


男の子

「えっ、チャイム?」


女の子

「嘘、ママかな!? 今日は遅くなるって確かに……

 ど、どなたですか──」


大清水

「家庭ほうもーーーーん!」


女の子

「ヒィッ!?」


緒方

「ウブな少年少女たち!!」


「まさに青春真っ只中!!」


大清水

「ならば我らが教えましょう!!」


緒方

「オー!」


「ティー!」


大清水

「オー!」


緒方

「緒方!」


「轟!」


大清水

「大清水!」


緒方

「三人組ッ!!」


「略して我ら!! 」


緒方・轟・大清水

O・T・O・3おとうさん!!! 」


女の子

「……え?」


緒方

「失礼ながら、上がらせていただく!」


「失礼いたす!」


大清水

「失礼ッ!!」


女の子

「えっ、待って待って!!」


(3人、ドカドカと入り込んでいく)


大清水

「バッチコーイ!」


男の子

「えっ何!? 誰!?」


緒方

「元気か少年!」


「どことは言わぬが元気か少年!」


大清水

「保健体育の授業は真面目に受けたのか少年!」


男の子

「ほっ、ほけっ!?」


緒方

「覚悟はあるのか少女!」


「自信はあるのか少女!」


大清水

「保健体育の授業は真面目に受けたのか少女!」


女の子

「えっ、はい!」


男の子

「はい!?」


女の子

「じゃなくて、何なんですかあなたたち!?」


緒方

「よーし分かったそれならば一旦正座ァ!!」


「我らより助言を与えよう!」


大清水

「ちゃんと段取りを踏めぇえ!!!」


男の子

「だ、段取り!?」


緒方

「そう段取り! 段取りは大事だぞ特に少年!」


「大きい段取り小さい段取り一杯あるけど」


大清水

「あんなことそんなことできたらいいなで出来るほど世の中そんなに甘くなぁい!」


女の子

「段取りって……例えば何なんですか?」


緒方

「興味津々か少女!」


「その意気や良しぞ少女!」


大清水

「それではまず覚悟の確認をするぞ!」


男の子

「覚悟……!」


女の子

「か、覚悟……!」


緒方

「少年少女よ、結婚を前提に清らかなお付き合いをしているか?」


男の子

「結婚!?」


女の子

「あっそういうレベルのお話で」


「みだりにみだらになってくれても全然かまわぬが」


大清水

「段取りを踏めぇえ!!」


男の子

「えっと……ま、まだピンと来てないけど……僕は、そうなればうれしいなって……」


女の子

「わ、私も……」


緒方

「親に挨拶はしたか?」


女の子

「えっ!?」


男の子

「ま、まだです……」


「『娘さんを僕にください!』という話ではないぞ」


大清水

「『お付き合いをさせていただいております』で良いぞ」


緒方

「親というものは、それだけでもう、察す」


「そう察す」


大清水

「生温かく見守る」


女の子

「察されちゃうのね……」


男の子

「それはそれで恥ずかしいな……」


緒方

「逆に!!」


「親に内緒でお付き合いして!」


大清水

「親に内緒でくんずほぐれつくんずほぐれつ」


緒方

「親というものは、それだけでもう、泣く」


女の子

「うーん……」


「親に内緒のドキドキ異性交遊だというのならそれもまた良し」


大清水

「ただし先を見据えているなら! 早々に報告してやれ!」


男の子

「はっはい!」


緒方

「まあしかし、おぬしの母親はすでに気が付いておるかもしれぬ」


女の子

「えっ!? いやでも、まだはっきり言ってないし」


「それはどういうことだ緒方」


大清水

「何かを見つけたというのか緒方」


緒方

「枕元にティーーーッシュ!!!」


「これは実にフレーーーーーッシュ!!」


大清水

「今夜のメインディーーーーッシュ!!」


緒方

「お寿司!!」


「トンカツ!!」


大清水

「オムライス!!」


緒方

「三人前!!」


「全部合わせて!!」


大清水

O・T・O・3おとうさん!!」


男の子

「何の話!?」


女の子

「間違ってはないけど……メインディッシュってそういう……」


緒方

「母親が分かっているのなら! 我らが言うことは何もなし!」


「ちゃんと両親に報告するもよし!リビドー任せでやることやっていくも良し!」


大清水

「何にせよ頑張れ! 応援するぞ!」


男の子

「えっ、あっ、はい!」


女の子

「あ、ありがとうございます……?」


緒方

「礼には及ばぬ、少年少女よ」


「やるべきことをやったまで」


大清水

「おっと最後に一言を」


緒方

「少年少女よ!」


「手伝いが欲しければ!」


大清水

「我らはいつでもやってくる!」


女の子

「間に合ってます!」


緒方

「それでは我らは失礼する」


「お困りならばすぐに呼べ」


大清水

「エンジョイブルゥースプリィング!!」


(三人、ドカドカと入り口から去る)


女の子

「……何だったの?」


男の子

「……何だったんだろう」


女の子

「何だったんだろう、じゃなくてさ。

 私が知らないってことは、あなたの知り合いじゃないの?」


男の子

「僕も知らないよ! てっきりそっちの知り合いかと──」


大清水

「忘れ物だぁーーー!!」


女の子

「うわっまた来た」


緒方

「大事なことを言い忘れていた」


「これは二人の名誉のために」


大清水

「はっきり名言しておこう」


緒方

「我ら三人、O・T・O・3おとうさん!」


「断じて一切、お前たちのどちらの知り合いでもない!!」


大清水

「なので余計な詮索は不要!! それでは改めて失礼!!」


(三人、ドカドカと入り口から去る)


女の子

「……不法侵入者じゃん!!」


男の子

「本当に何だったんだ……。……でもさ、言ってることは、大事なことだったね」


女の子

「えっ……まあ、そう、ね」


男の子

「ちゃんと、しっかり考えてから。ね?」


女の子

「う、うん……。よろしくね、これからも」


男の子

「こちらこそ、よろしくね」


(部屋の明かりが漏れる家の外から)


「頑張れよ、若人」


大清水

「エンジョイ……セブンティーン……ブルゥースプリィング……」


──────────


緒方

O・T・O・3おとうさん!!!」


「それは悩める人の前に!!」


大清水

「助けを求めるあなたのそばに!!」


緒方

「いつでもどこでも駆けつける!!」


「次に我らが現れるのは!!」


大清水

「あなたのお家かもしれない!! それではこれにて!!」


緒方・轟・大清水

「失礼!!!!!」

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