2件目のお悩み ~マスターとサラリーマンとO・T・O・3~

───【登場人物(♂3:♀0:不問2)】───

緒方(♂)

轟(♂)

大清水(♂)

マスター(♂(or♀))

サラリーマン(♂(or♀))


───【本編】───

マスター

「いらっしゃい。……おや、あなたでしたか……」


サラリーマン

「マスターアァ……疲れがとれるやつ1杯……」


マスター

「はい。……今日もお仕事が大変でしたか」


サラリーマン

「そーーーーーーーなのよぉーーーー。相変わらず上司は無茶スケジュールで仕事入れてくるし、

 そのくせチマチマと進捗確認してきてコマゴマとツッコミ入れてくるしで、

 まともに仕事させてくれないからさらにスケジュール遅れるし。」


マスター

「それはそれは、災難ですね」


サラリーマン

「災難ってもんじゃないよぉ……。こんなのお酒飲まないとやってられないってーの! ちくしょーめ!」


マスター

「まあまあ落ち着いてください。そうですねえ、とりあえず一度スッキリするために、モヒートでも」


サラリーマン

「じゃあそれで」


マスター

「はい、承りました」


サラリーマン

「っはぁーー……。誰か、こんな仕事とか上司とかを何とかしてくれる人は居ないかな…… 」


緒方

「お困りですか、若者よ!(若者よ)(わかものよ)」


サラリーマン

「えっ何!?」


「お困りならば、いざ行かん!(いざ行かん)(いざゆかん)」


サラリーマン

「どこ!? どこから聞こえてくるの!? 」


(入口のドアを開ける音)


マスター

「いらっしゃ──」


大清水

「カランカラーン!!」


サラリーマン

「うぇっ!?」


大清水

「かけつけ三杯いってみよー!」


緒方

「カルーアミルク!」


「ソルティドッグ!」


大清水

「スクリューーーードライバーーーー!」


緒方

「オー!」


「ティー!」


大清水

「オー!」


緒方

「緒方!」


「轟!」


大清水

「大清水!」


緒方

「三人組ッ!!」


「略して我ら!! 」


緒方・轟・大清水

O・T・O・3おとうさん!!! 」


サラリーマン

「……は?」


マスター

「お客様、申し訳ありませんが他のお客様もございますので、お静かにしていただきたく」


緒方

「おっとこれは失礼した」


「失礼いたした」


大清水

「失礼。」


サラリーマン

「何なんだ……」


(以降、他のお客様もいるので普通のトーンで)


緒方

「そこの悩める若者よ」


サラリーマン

「えっ、自分ですか?」


「やはりおぬしが悩める若者だったか」


サラリーマン

「えっ誘導尋問?」


大清水

「その悩み、我らが聞いてしんぜよう」


サラリーマン

「えっ聞くだけ?」


緒方

「それでは右隣に緒方」


「左隣に轟」


大清水

「あなたの後ろに、大清水」


サラリーマン

「近いよ! ムサいよ! 何なの!」


マスター

「ところで失礼ですが、念のため、ご注文を確認させていただいてもよろしいでしょうか」


緒方

「私がカルーアミルク」


「私がソルティドッグ」


大清水

「そして私がスクリュウゥードライヴァー」


マスター

「はい、承りました」


サラリーマン

「見た目に反してなんて女性的な」


「人を見た目で判断すべきではなぁい」


サラリーマン

「ヒッすいません」


緒方

「さて若者よ」


「まずは上司にきちんと相談してみてはどうだ」


サラリーマン

「悩みの内容分かってんじゃん……いやそうは言ってもー……

 話せるような雰囲気じゃないし、何回か勇気出して言ってみたんですけど、

 軽くあしらわれたり、『気合が足りない!』とか言われたりで

 もうほんとしんどい。」


大清水

「まあまあ私のスクリュゥードライヴァーでも飲んで落ち着きたまえ」


サラリーマン

「いや自分にはモヒートがあるんで大丈夫です」


大清水

「ぬぅん」


緒方

「若者よ、そういうときは数字で示すのだ」


サラリーマン

「数字?」


「おぬし、相談する際にただ漠然と大変であると伝えておらぬか」


サラリーマン

「えっ……あー……そうかも」


大清水

「そういうときは数字の力を使うのだ」


緒方

「今の仕事が何件あって」


「仕事をするのに何日かかって」


大清水

「上司のちょっかい何回あって」


緒方

「なので仕事が進まない」


「だから残業何時間」


大清水

「つまりはすべてお前のせいだ! と。」


サラリーマン

「最後のはちょっと……でも、それ以外は確かに言われる通りですね……。

 仕事の合間を縫って、今の大変さを数字で出してみます。」


緒方

「やってやれ若者」


「応援するぞ若者」


大清水

「仕事はとにかくホウ・レン・ソウなのだよ」


緒方

「報告のホウ!」


「連絡のレン!」


大清水

「相談のソウ!」


緒方

「三人合わせてO・T・O・3おとうさん!」


サラリーマン

「違うよね!?」


「ところでおぬし、大友商事の第三営業課所属なのだな」


サラリーマン

「えっ何で知ってるの」


「鞄のチャックが開きっぱなしで社員証が見えているぞ」


サラリーマン

「うわやっばい。コンプラまじ勘弁して……」


大清水

「大友商事……大友商事か!!」


緒方

「ならばいっそ問題ないな大清水!」


「そうだな全然問題ないぞ大清水!」


大清水

「このおじさんに全部任せてみなさい!身をゆだねてみなさい!さあ!さあ!」


マスター

「お客様?」


大清水

「失礼!」


サラリーマン

「でも、おかげで気分が軽くなりました。ありがとうございます。」


緒方

「礼には及ばぬ、若者よ」


「やるべきことをやったまで」


大清水

「おっと最後に一言を」


緒方

「若者よ!」


「相談相手が欲しければ!」


大清水

「我らはいつでもやってくる!!」


サラリーマン

「いつでもは別に良いかな……」


緒方

「それでは我らは失礼する」


「お困りならばすぐに呼べ」


大清水

「おあいそ!!」


(ドカドカと入口から去る音)


マスター

「……行きましたね。気は軽くなったので?」


サラリーマン

「まあ……訳は分からなかったけど、気分は軽くなったし、明日からも頑張ってみようかな」


──────────


大清水(ナレーション)

「次の日!!」


マスター

「いらっしゃい。……おや、あなたでしたか」


サラリーマン

「どうもどうも。記念の一杯ちょうだい」


マスター

「おや、何かめでたいことでも」


サラリーマン

「なんか急に上司が人が変わったようにやさしくなってさ、仕事の量も進捗報告もかなり楽になって、

 うれしいのなんの」


マスター

「それはそれは……。あの方々のアドバイスのおかげですか?」


サラリーマン

「それが、こっちからは何もしてなくて。

 なんか大口の取引先のお偉いさんから名指しで突っ込まれたとかなんとか」


マスター

「ほう……そういえば先日の方々で、一人だけ会社名に反応した方がいらっしゃいましたね」


サラリーマン

「そういえばそうだね……まさかね……」


──────────


緒方

O・T・O・3おとうさん!!!」


「それは悩める人の前に!!」


大清水

「助けを求めるあなたのそばに!!」


緒方

「いつでもどこでも駆けつける!!」


「次に我らが現れるのは!!」


大清水

「あなたのお家かもしれない!! それではこれにて!!」


緒方・轟・大清水

「失礼!!!!!」

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