第185話 ケモミミパラダイス
俺達は精霊祭を満喫してから街へと戻った。
ミレナの持ってきてくれた馬車のお陰で猿助さんも乗ってるだけで済んだし、御者はミレナとジェラルドが交代でやってくれた。
俺は幌馬車での移動中も動画や画像の編集などの作業をして時間を潰した。
猿助さんはミラとユミコさんにお土産だとドールの服や小物の載ってる雑誌を持ってきてくれていたので、それらをドールの二人とカナタも一緒に読んで楽しんでいた。
「このセーラー襟の服、かわいいね。二人に似合いそうだし、僕もセーラー襟のドール服作ってみようかな」
その言葉を聞いて嬉しそうなドールの二人。
「おお、ドールの服は小さくて縫いにくいでしょうに、縫えるんでごさるか! 流石ですなカナタ氏」
「仕上がりはともかく一応形にはなるかも?」
「ハハハ、翔太殿からお裁縫も上手だと聞き及んでいるでござるよ」
などという和やかな会話を馬車内でしていた。
異世界の家に到着し、こちらでも猿助さんを部屋に案内した。
「じゃあ猿助さんはこちらの部屋を使って」
「かたじけない、部屋を貸して貰ってばかりで」
俺は次に声のトーンを落としてボソボソと、
「気にしないでくれ、今日はまだ移動疲れがあるだろうし、花街へは……明日の夜に行こうか」
「重ね重ねかたじけない……」
「出かける理由としては、えーと、俺の推しの劇団の紹介にって理由で連れ出すから」
「承知」
俺と猿助さんはミレナに聞こえないところで花街に行く計画を立てた。
別に恋人や嫁じゃないから、秘密にする必要は無いとは思うが、夜職じゃない一般の女の人からしたら知り合いが花街で遊ぶのは気持ちのいいものでは無いとは思うので。
* *
その日の夜は串に刺したガーリックバケットやスパイシーなソース付きのエビと白身魚のポワレを食べた。
ちなみにポワレとはフライパンで肉や魚をカリッと香ばしく焼き上げる調理法のことだ。
後はスムージーも飲み、野菜も摂りました感を出した。
どれも美味しかった。
そして翌日、カナタはお裁縫、ミレナは人に預けていたルルエを引き取りに行ったし、ジェラルドはギルドの仕事をしに行った隙に花街へ行く夜が来た。
「花街は久しぶりだなぁ」
「ドキドキでござる」
刺激を受けたらまたいい作品が作れるかも。
「あ、当面のお小遣いと生活費を渡しておくよ、こちらの世界の通貨」
「ありがとうでござる。移動中にジェラルド氏が教えてくれたので多分何とかなると信じたいでござる」
そして華やかなりし、花街に着いた。
魔法の明かりが怪しく光る……。
盛り上がってまいりました!
俺達はついに花街で生きるおじさん達がおすすめのケモミミパラダイス娼館に到着した。
「あのケモミミパラダイスで先払いするまで俺が見守ってるから」
「は、はい……」
さて、猿助さんの理想の女の子はいるかな?
店内にずらりと居並ぶケモミミっ娘達を見るのは壮観だった。
「ああ~、猫耳もうさ耳も犬耳も、可愛くて選ぶのが困難でごさる」
「考えるな! 感じろ! フィーリングで選べばいい」
などと雑なアドバイスをする俺。
と、そこに猿助さんに近寄る店の男性店員さん。
「旦那、まず最初は手慣れたお姉さん系の兎の娘からで次に愛さしさ炸裂の猫ちゃんって流れはどうですかい?」
「は、はい!」
店の人にそうそそのかされて、猿助さんは2回転確定してしまった。
「猿助さん、がんばれ~」
「い、行ってくるでござる!」
初めてはうさ耳ちゃんかー、悪くないのでは?
「それで、旦那はいかがなさいます?」
「えー、じゃあまずはあの猫耳の……尻尾ふさふさの娘と話をしてみたいかな」
「かしこまりました」
猫耳ちゃんに取材交渉をして、えちち写真を撮らせて貰える事になったし、あと、ふさふさの尻尾もモフらせてもらった。
やはり猫耳っ娘は安定の人気があるしな!
仕入れの資金調達の新作のネタになっていただく。
代わりにこちらの金貨は弾んだよ。
* * *
そして3時間後に猿助さんと店の側の飲み屋で合流しようって話をしていたので、先に娼館を出ていた俺は抗生物質などの薬やゴムを薬屋に卸したりしてた。
その後、飲み屋で再会した猿助さんは、一皮むけた男の顔をしていた気がする!
「よし、エールで乾杯しようか!」
「はい!」
脱童◯おめでとう!!
無事に大人の男になれたんだね!
ありがとう! 筆下ろしの兎のお姉さん! と、猫ちゃん!
「夢のようなひと時でござった……」
「優しくしてもらえた?」
「はい、それはもう、接客のプロでござるからして、特に猫の娘の甘えん坊ゴロニャン接客が至高過ぎてそのまま召されるかと思ったでござるし、チップも弾んでしまったでござる」
ハハハ! 流石だぜ!
幸せにチップむしり取られてる!
「じゃあもう遅い時間だし、近くの宿を探そうか」
「もう寝るだけなんでどこでもいいでごさるよ」
「下手な安宿はノミダニとかが怖いよ」
「ヒェッ」
俺達はそこそこ良さげな宿に泊まって、朝に帰ることにした。
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