第164話 廃村
首都から離れた田舎宿に泊まった時に、安い宿しかなかったのだが、隣のギシアン声が聞こえてしまった。壁が薄い!
子供の……ミラとユミコさんの教育に悪い!
ジェラルドは気にしたら負けだぞ? と涼しい顔をしているが、男三人にドール二人のいる部屋で俺はドールだけでもミレナの部屋に連れて行くかと思ったが、安宿は防犯面で不安だし、強盗が来るかもしれないって事でミラが俺から離れなかった。
仕方ないのでラッキーだけミレナの部屋に入れた。
今はまだ寒いのでミレナは湯たんぽがわりに抱っこして寝ることだろう。
「かくなる上は、子供向け名作アニメの上映会で対抗する!」
「大丈夫? うるさくない?」
「ギシアンよりはいいはず!」
そう言って俺はイチオシの子供向けアニメを流した。
主人公は健気かつ、サバイバル能力もあり、賢い!
お供の犬が珍しく駄犬系ではあったが、愛嬌はある。
アニメをプロジェクターで流し、しばらくして隣の声が静かになった。
主人公の母親が死ぬシーンで隣から啜り泣きが聞こえた。
お隣も聴いてたんかい! ま、いいや。
しばらくしてミラとユミコさんも寝落ちたようだったし、そっと音を消して寝た。
「おはよう、泥棒来なくて良かったねー」
「そうだな、おはよう、カナタ、ジェラルド」
「二人ともおはよう」
「「おはようございます〜」」
「いつのまにか寝てしまいましたが、続きはまた今度見れますか?」
「マスター、私も見たいです〜」
「もちろんだよ、二人とも」
「何アニメ流してんのよー」
目を擦りながら眠そうなミレナがラッキーを連れて出てきた。
「すまんな、ミレナ。えちちな声を打ち消そうかと、うるさかったか?」
「私が見れないじゃないのー」
「あ、そっちか、今度また上映会するから」
古いアニメだが、皆も気に入ったみたいだ。また今度、上映会しよう。
* *
次に目的地への通り道である廃村に来た。チャリで。
馬車も行かない場所だったので。
そんで何故か人がいない。
村からはギャアギャアと不吉なカラスの鳴き声等は聞こえる。
もしやモンスターにでも占拠されたのかな? と思ったらやはりだった。
「ワン!」
「ゴブリンよ!」
最初にラッキーが吠えて木の上に登って確認してたミレナが叫んだ。
「ゴブリンの巣になってたか」
「とうっ!」
ジェラルドが弓を構え、矢を放ち、ミレナが短剣でゴブリンの急所を的確に切り裂き、ミラが糸でゴブリンを捕らえ、そのまま切り裂いて行く。
俺とカナタは戦闘員ではないが、俺は主に前線で戦うミレナとジェラルドとミラが怪我しないように気を配っていた。
「わりと数が多かったけど、ミラの糸が広範囲まで届くからなんとかなったわね」
「しかしミラは疲れて寝てしまったので寝かせておこう」
ミラとユミコさんはリュックに入れて寝かせておく。
「ごめん、僕カメラマンしかできなくて」
「いいんだよ、十分な働きだ。それも飯の種になる。かっこいい戦闘シーンになったと思う」
「ゴブリンは神CGだと思われるだろうけど、二足歩行の魔物だし、イカ系のクラーケンと違って残酷シーンはあそこで流せなくない?」
「えーと、じゃあ俺のエログロOKの個人サイトでその戦闘動画だけファンサで置いとくか」
「あ、なるほど、そっちなら」
「ワンワン!」
「どうした、ラッキー、まだ敵が残ってるのか?」
ラッキーが俺のズボンの裾を噛んで引っ張ってる。
「ついて来いって言ってるんじゃないか?」
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