第143話 アフターと驚きの事実
アフターに参戦。
「や、やはり拙者場違いなのでは?」
猿助さんが気にしてる。
もう普段着に戻ってはいるが、華やかなコスプレイヤー女子集団が4人ほど数メートル前方を歩いてて、気後れしている。
カナタだけ男なのに自然に混ざってるのが凄い。
やはりコスプレ衣装を手伝ってあげてた仲間だからリスペクトされてるに違いない。
「あー、それを言ったら俺もいつも場違いなとこにいるよ」
イケメンエルフと美少女狐と男の娘の中に混ざってるおじさんだぞ。
「エスタ氏はイケメンでござるよ。 鏡見てくれですぞ」
「おっと、ありがとう」
「お世辞じゃないですぞ、動画も自分だけモザイクかけておられますが、顔出しすれば大人気間違いなしですぞ」
比較対象が美しすぎて……な。
「あ、投稿動画見てくれてありがとな」
「もちろん見ております、最近はドールも喋っててすごいクオリティでござる」
「ははは」
やはり笑って誤魔化すしかない。
「ところで猿助さんは名乗るタイミングあったら、ペンネームと本名どちらにする?」
猿助なんで一応訊いておく。
「本名ばれは避けておくでごさる、もう猿助のままで」
「了解」
「拙者いつでも逃走可能な通路側の端っこの席希望でござるよ」
「ああ、いいんじゃないか?」
カナタの友達ならそう悪い子はいない気がするんだけどな。
個室のある焼肉屋に来た。
猿助さんを希望のとおりに通路側の端っこに座らせてあげたけど、そこ届いた料理がくるとこだけどいいのか?
「今日は皆さん、お疲れ様でしたー!」
「はーい、お疲れー」
「はじめましての方がいますね?」
「はじめまして、エスタです、こちらは友人の猿助さん」
「猿?」
「彼は時代物が好きなんですよ」
俺がすかさずフォローした。
「あー! 信長とか、豊臣秀吉ね! なるほど」
「そうです、そうです」
猿助さんが固まってるから俺が代わりに答えたりしてたら店員が肉を運んで来た。
「肉だー♡」
「まず写真撮っていい?」
「どうぞどうぞ」
陽の者たるレイヤー達はまず写真。
俺も撮るか。配信者だし。
「皆で手だけ写るピースしましょー」
「あー、上からのやつですね、指紋が見えないように甲側を」
このパリピ感!
文化は知ってる! 自分がやるのは初だが!
インス◯とかで見る!
「あ、エスタさん、そうです、そうです」
おや、もう俺のハンドルネームを覚えてくれてるのは、カナタが教えていたのかな?
「はい、撮るよー♪」
カシャカシャと響くシャッター音。
あ、ここはふつうに撮るよーなんだ! うっかりハイ、チーズ! とか言わなくてよかった!
撮影も終わって肉を焼くターン。
俺は猿助さんのテーブル前から肉皿を取り、人と人の真ん中あたりに配置した。
するとカナタがトングを持って焼き始めた。
鍋奉行ならぬ焼き奉行だろうか?
あるいはたはだの世話焼き系。
レイヤー女子グループも一番年上っぽい女性がトングを持ち、アミにのせて焼いていく。
ビールやジュースも配られ、レイヤー達は雑談に花を咲かせた。
助かった、名前以外は俺達に根掘り葉掘りされない!
大人しく? ゲームの推しトークをしてくれてる!
と、安心してたら、今日のコスプレ完成度かなり良くないですか? って急に俺に向かって写真見せられて驚いた。
「えっ!? まさかこれって」
「そのまさかだよー」
「カナタは知ってたのか! なんで言ってくれないんだ」
「あはは、ごめん、驚かそうと思って」
カナタは笑顔である。
「エスタ氏、どうかしたんでござるか?」
「どう見てもこれミレナのコスプレなんだ!」
「は?」
カナタも自分のスマホを取り出して写真を猿助さんに見せた。
「こ、これは! 真に! エスタ殿の動画に出てたあの狐の!」
「動画配信サイトで見て、狐の娘がちょー可愛いかったので、コスプレしてみました!」
にこっと笑うレイヤーさん。
「ミレナ凄いな、いつの間にかコスプレされる存在になっていたとは!」
まるで人気者のスターのようだ!
「たまげたでござる」
驚きはあったが特に嫌な目にも合わず、アフターは美味しい肉を食べて終了した。
あー、びっくりした!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます