第45話 タラサで充電旅行しようかって話

「売り物が早くなくなるが、俺の仕入れのセンスがあるってことなのではないか?

 売れない不良在庫抱えるよりはいいはず」


 カフェの飲食スペースでスタッフミーティング中の会話である。

 茶うけはコーラゼロとポテチ。

 コーラもポテチも安定の美味さ。



「まあ、おかげで俺も冒険者の依頼も片付けに行ける」


 ジェラルドは手帳を開いてスケジュールの確認をしているようだ。



「それに俺には故郷の方でも新しい売り物を作る時間が必要だ。あちらの通貨の予算がないと仕入れができない、ミレナも冒険者の仕事少しはするだろ?」



「それはそうだけど……」 


 ミレナは箸の練習をするために真剣な顔でポテチを箸で掴み、パリパリと食べている。

箸の使い方がだいぶ上手くなってる。

 箸は手も汚れなくていいよな。



「そうだ、空き時間に旅行に行ってキレイな写真を撮って、そんでちがう土地の花街で新しい娼婦さんに交渉してえちち本の出演を依頼をするのも悪くない」


「ショータはえちち本以外にあちらで稼ぐ方法はないわけ?」


 ミレナがジト目でまた見てくる。



「エロ以外のお話となると、感動させたり、なんかよほどの面白い作品を書かないといけなくなる。

それにはかなりの才能がいるんだよ。

エロなら可愛くてキレイな女の子の服を脱がしてあんあん言わせておけばわりと何とかなるのだが」


「あんあんて……」

「おっと、女の子の前で言う話じゃなかったな! すまん!」


「じゃあショータは旅行に行くの?」


「エロはエロ需要のある人に、美しいファンタジー背景素材写真集はそれを求める人に需要があるはずだし、三日カフェで働いたら旅行に行こうと思う」

「それでどこに旅行に行くの?」


「そうだな、今の時期、つまり夏に行くなら褐色美女のいる所とかかな? 島とか、あ、でも水の都もホントは夏が良いって言ってたな、露店のおねーさん達が薄着になってウインナーとか焼くんだって!」 


 ゴッ!!


「痛っ」



 俺の横に座ってたミレナが俺の脛を蹴って来た。

 薄着のおねーさんとソーセージ発言が下品だったか、いや油断した。



「水の都は行ったばかりじゃないの」

「じゃあやはり褐色美女のいる海辺か逆に色白美肌の美女がいるかもしれない山か高原? でも先日滝に行ったし、やはり今度は海かな」


「海……海の食べ物……海藻を採るギルドの依頼でも受けようかしら」


 つまり俺の旅先について来たいのかな?

 まあ、ミレナも一応冒険者のシーフだし、用心棒その二だと思えば有りかもしれない。


 そういやドールのミラは接客などで疲れたのか、ソファの上で寝てる。



「ミラは大丈夫かな?」

「寝れば魔力がある程度は回復するだろう。でも魔力に満ちた場所に連れて行くのも悪くないぞ。

というか手っ取り早い」

「つまりジェラルドの家ってか、森の賢者の木の家?」


「そこでもいいが旅先に、あ、聖地とかどうだ?」

「聖地? 聖女とか聖者ゆかりの地?」


「神様だ。タラサの海底神殿がある海底都市は海神の加護のある聖なる地だ」

「すげぇ! 神様そのもの!?」

「ああ、海底都市は壁の向こうで魚が泳いでるのが見えて奇麗な場所だ」

「それは素晴らしい! 行かねば!」


 伝説の海底都市アトランティスみたいなものかな?

 ワクワクするな!

 最高に映える所な気がするが素材集として売るなら海底都市の写真はイラストに見えるようにしっかり加工しないとな。



「ふーん、海底都市は私もまだ行った事ないから付き合ってあげてもいいわよ」


 ミレナのセリフを要約すると連れて行けってことだよな?


「俺もたまには違う土地の依頼を受けようと思ってた、飽きるから」

「じゃあ三日カフェで働いた後に三人とミラで海底神殿に旅行兼仕事に行こう」

「「了解」」


 決定!


 取材旅行だ~!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る