第20話 水の都最終日と再びの満月
夜にはジェラルドも仕事から帰ってきた。
さて、三人揃ったので晩御飯だ!
タコとエビとブロッコリーとチーズとレタスの海鮮サラダ、オリーブオイルにレモンを混ぜてドレッシングにした。
後はメインディッシュとして海鮮のお好み焼きを作ってみた。
ソースは日本から持ってきたやつ。
「これは柔らかくて美味しいな」
「初めての味だけど美味しいわ。サラダの方もこれは具が多くていいわね」
「お好み焼きは多分干しエビがいい味を出してると思う」
しばらくこのようにしてたまに料理をしたり、似顔絵を描いたりしつつ、滞在最終日になった。
俺達はせっかくなんで水の都の夜を楽しもうと、三人で料理も出る酒場に向かった。
なかなか人もいて盛況なので料理も美味いかもって店に入った。
そして他の客の真似をして、パエリアとエールを注文した。
パエリアは美味しかったのだが、俺の隣の狐は自分の皿からアサリ貝らしき貝を見つけてはスプーンですくいあげ、俺の皿にしれっと入れてる。
そういやこいつ、貝は出汁以外は嫌いだったな。
別にいいけど、子供みたいな真似をする。
エールと食事を楽しんでいた時に、隣のテーブルのおじさんに話しかけられた。
「兄ちゃん達は明日帰るのかい?」
「はい、そうです」
「今度はこの水の都には夏に来るといいぞ!」
「夏ですか」
「薄着で胸のでかいねーちゃん達が屋台で売り子をするからよ!」
そう言って隣のテーブルの酔っ払いおじさんはガハハと笑った。
あー、なるほどな、タイにもお色気で客を集めてる屋台がそういやあったなぁ、ここも夏だとそうなるんだな。
ふむふむと思っていたら、ミレナが俺の耳を引っ張った。
「痛いぞ」
「何をニヤけているのよ」
「あはは」
ジェラルドに何故か笑われた。
こうして水の都の滞在が無事に終わり、自分達用のお土産を買って、始まりの土地の伯爵領に戻った。
後は満月の日を待って、帰宅可能か試すんだ。
今回は魔法の鞄があるから、お土産や金になりそうなものを沢山入れて来たい。
……日本でも魔法の鞄って機能するかな?
すればいいな!
そうでないと必要最低限しか持ち出せないし。
押し入れから先に荷物だけポイポイ投げて大樹の根本でジェラルドに受け取って貰う?
いや、帰るタイミングがどうなるか分からないからなぁ。
ひとまず数日間、俺はジェラルドの木の家でエロ絵を描いていた。
そして書き溜めた絵をまた花街で竹筒に入れて売った。
まさか竹筒にいやらしい絵を入れているとは誰も思わないだろうなと、客にも好評だった。
花街では二人の女性に声をかけ、魔道具で撮ると許可を得て、有償でエロい写真も撮らせて貰った。
自分でシナリオを書き、ストーリー付きでデータ販売させていただく予定である。
絵だけより、多分文もある方が売れるだろう。
花街から帰って来て、ミレナやジェラルドにコスプレ写真としてあちらで売ってもいいかと聞いた。
「コスプレとはなんだ?」
「俺の世界にはエルフも獣人もいないから、特殊な変装をしてることにして売るんだ、変装がコスプレってことな」
「ほお」
「もちろん、二人のは服を脱いだりしてるお色気画像じゃなくて旅先で撮った見栄えのいいやつだから」
「それで金になるのか?」
「二人とも美形だからある程度はなるかも」
「私もいいわよ、その代わりお土産よろしく」
「了解」
着衣のブロマイドだ、エロイのではないから、 金になるならいいと許可がでた。
エロいのほど売れなくても、俺だけがこの美貌を堪能するのももったいない気がするので。
しばらくデータ販売するエロ画像つきのシナリオを考え、スマホのメモ帳機能で書いたりして過ごした。
ついに満月の日になった。
ジェラルドに行ってくると挨拶をして、魔法の鞄を持ち、俺はまた大樹の元へ向かった。
午前中でもいけるか試してみようか?
俺は朝の明るいうちから大樹に触れてみた。
しかし、まだ無理だった。
夜まで近くでキャンプし、まあるい満月を確認してまた大樹に触れた。
すると体は通り抜け、また日本の自宅、あの押し入れに戻った!
成功だ!
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