第9話 行きたい場所
ジェラルドと俺は夏の森から帰還した。
すると、木の家の近くに生えてる木の枝に、俺のジャケット引っ掛けてあった。
無事に戻ってきていた!
壁尻の狐の獣人ちゃんは借りパクせずにちゃんと返却してくれたんだ!
よかった!
俺は上機嫌で 木の家のキッチンで、食事の準備をさせて貰った。
フライパンで火を使う時の煙は、上空へと向かうのだが、賢者の作った魔法の家は換気扇代わりの魔法陣が天井にあって、室内で火を使っても大丈夫な作りになっている。
今夜は夏の森の収穫物でニラ玉と生姜焼きディナー。
生姜焼きの肉はワイルドボアだ。
出来上がってテーブルに運ぶ。
テーブルはジェラルドがきれいに布巾で拭いてくれているので準備は万端。
椅子に座っていざ、実食の時!
「ニラ玉も生姜焼きも安定の美味しさ!」
「なるほど、生姜が効いててこれは美味しい」
デザートはバナナとパパイヤ。
甘味もあって嬉しい!
食事も美味しいし、話も弾む。
「ところでショータは他にどこか行ってみたい場所とかあるか?」
「あー、お金が溜まったら景色のいい所に観光に行きたいかな」
「景色のいいとこ? 花畑とか?」
「えーと、花畑もいいけど、水の都、ベネチアみたいな」
俺はベネチアと聞き慣れワードに首をかしげるジェラルドにスマホ内に保存していた画像を見せた。
「あー、ゴンドラで運河を渡るやつな、セイランヌという都市があるぞ、新婚旅行先に人気だ」
「新婚旅行!」
相手がいない!
「新婚旅行はさておき、セイランヌにはいつか連れてってやろう」
「ありがとう!」
楽しみだなあ。
しばらく絵を描いて頑張らないと。
せっかく保護収納用の竹筒も採ってきたんだし。
「花街では遊ばなくていいのか?」
「ふさふさのしっぽをお触りしまくれるとこがあれば……」
「獣人ばかり集めた娼館ならあるぞ」
素晴らしい! でも、本番は病気が怖い……。
俺が治癒魔法スキルでも持ってたらまだ少しは安心できるけど。
「俺の場合は尻尾のお触りだけでいいんだけど」
「ふむ、ふわふわな尻尾などを触りたいだけならもう犬か猫を飼った方が早いな」
「でも外出が多いとペットのたぐいは留守の時に淋しい思いをさせるし、俺にもしものことがあった場合が怖い」
「なるほど、テイマーの知り合いがいるから今度会いに行くか、尻尾がモフモフなのいたし」
テイマー! ファンタジーらしい世界の職業!
「ぜひ連れてってくれ! 楽しみだ!」
ひとまず三日かけて絵を描いた。
五枚ほど。
描いた絵の紙をくるくると巻いて竹筒に入れてみた。
とりあえずこんなものだろう。
ランチに目玉焼きとベーコン、バゲット。
デザートにパイナップル。
それにジェラルドが庭で育てているレモングラスのお茶。
お腹が満たされたところで、荷馬車を乗り継ぎ、花街へ向かった。夕暮れ時には到着できた。
そして今夜も路地裏でえっちな絵を売った。
今日は狐と兎の獣人の絵も描いてた。
普通の女体に耳と尻尾を足しただけだけど。
「ああ! こ、これは狐っ娘の! なんて可愛くていやらしいんだ!」
──褒め言葉だ。
そんで、他にも、
「兎獣人のハレンチな絵! あー、ダメだ、エッチ過ぎる! 買います!!」
「ありがとうございます!!」
獣人専門の娼館前でうろうろしてたケモ好きの人に声をかけたので大変喜んでもらえた。
通常の裸婦絵で獣人を描いたものはめったに見ないそうだ。需要に供給が追いついてないのだな。
もしや隙間産業を狙えるか。
などと考えたりした。
他にも普通の人間の裸婦絵も三枚売り切った。
勝ち気な顔の娘、おっとり優しげな娘、愛らしくて保護欲をかきたてられそうなファニーフェイスの娘。
次は敵に捕まった女騎士の絵も描いて見ようかな? シチュエーションにもこだわって。
なかなかお金も稼げたし、翌日は午前中に画材屋で新しい紙も買い足した。
明日はジェラルドがテイマーの家に連れてってくれるらしいから、楽しみだ!
いざ行かん! モフモフパラダイス!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます