終章 その後のあれこれ
第58話 甘々なふたり
「起こしてくれればいいのに」
悠里は和樹にそう文句を言った。が、二人はソファでべったりとくっついたままなので真剣な文句ではない。ただいちゃいちゃしてるだけである。
「疲れてるだろうと思ってね」
和樹はそう言い、そして二人は軽くキスをした。
二人は一昨日の夜に充分以上に交歓を深めたので、さて続いて第二ラウンド、とはならなかった。だが二人はバカップルさながらにべったりとくっついて離れなかった。もっともここはロビーではなく部屋なので別に何の問題もないのだが。
「和樹って本当に神の子なの?」
悠里はなんとなくそう訊いた。別に回答を求めている訳ではない。というよりどうでもいい。ただ何でもいいので和樹と話をしたいのである。
「正確には神の子じゃないんだけどね」
和樹は少し笑ってそう言った。
「じゃあ正確に言うと?」
悠里は話の先を促した。
「神の写し身の天使が生み出した存在の末裔かな」
和樹が言うと悠里は少し笑った。
「なにそれ」
悠里はそう言って和樹の膝の上に頭を乗せた。
「まあお金持ってることはわかったよ」
現実的な点だけは認めてくれる悠里だった。
「でも無駄遣いはダメだからね」
悠里はちょっと真顔を作って和樹にそう言った。そして少し笑って
「私と子供をちゃんと養なってくれなきゃ」
そう言って手を伸ばして和樹の頬を撫でた。
「もちろんだよ」
和樹はそう言って同じように悠里の頬を撫でた。
そして和樹はそのまま悠里の上半身を抱え起こし、またキスをした。
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