第47話 お仕事おわり

「この報告をしたらどうなる?」

和樹はエリーズにそう訊いた。


主人マダム次第だけど、まあ要注意扱いじゃない?」

エリーズは呑気にそう言った。


「面倒な事にならなきゃいいけど」

和樹はそう言って溜息をついた。


「どうだろうね。ただ委員会も注意はしてる」

それは彼らが第四世代以降の庶子であるという点が大きい。第四世代以降の庶子は、それ以前の世代と比べて寿命が短いとされている。そうなるとどうなるか。


「人の生命は限りがあるから輝くっていうけどねえ……」

和樹は呆れるようにそう言った。そう、ホモ・サピエンスがそうであるように、限りある生命こそ無駄に力強く輝いてしまうのである。迷惑なほどに。


「まあそうならない事を祈るだけね」

エリーズは鼻で溜息をついてそう言った。


「じゃあ行くねパパ。またね」

そう言ってエリーズはボーイを呼んでカードで会計してから和樹にウィンクして店を出て行った。和樹はエリーズがしっかり領収書を受け取ったのを見逃さなかった。


さて、言われた仕事も終わったし、何百年ぶりかで娘とも会ったしでやっと身が軽くなった。ようやく本格的なバカンスの始まりだ。

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