第38話 やっと認識する現実

あーよく寝た。


悠里が目を覚ましてもまだ辺りは明るかった。時計を見ると6時を少し過ぎたくらいである。あらほんとに結構寝ちゃったな。


この時期オランダは白夜なのだが、夜6時くらいでは日本の夕方とほぼ変わらない。特に違和感もなくベッドから身を起こすと丁度よく電話が鳴った。


「はい」

電話を取ると和樹だった。


──起きた?10分後に迎えにいくよ

和樹はそう言った。ジェントルなやつだ。


「わかった待ってる」

と言って電話を切ろうとして慌てて声を出した。


「あ待って、ディナーだよね?ドレスコードとかある?」

ドレスなんかもってないよ私。


──ああ普通の格好してれば大丈夫だよ

和樹は軽くそう言った。電話は切らない。悠里が切るのを待っているのだ。


「ああ、じゃあ後で」

そう言って悠里は電話を切った。


──さて

改めて悠里は部屋を見渡した。ダブルベッドはめちゃくちゃ広く、それに合わせてか部屋も広く、よく見ればテラスまでついていた。寝る前に見たお風呂も広いしトイレもお風呂と別になっている。いくらするんだろこの部屋。


──というかここオランダなんだよね

空港からタクシーでこのホテルに直行したので今ひとつ実感がないが、その前の17時間のフライトがこれが現実だと告げていた。いやそれ以前にこれは教師と生徒のお泊りデートなのである。とんでもねえ話だ。バレたら大炎上間違いなしだ。


まあとりあえず外に行けるような格好に着替えよう。和樹は多分本当に10分きっかりで来るぞあれ。急げいそげ。

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