第26話 今日のお礼です
「なんかほっこりした」
悠里は今日のデートをそう総括した。
「よかった」
和樹は少し嬉しそうにそう言った。
そう、楽しいとか面白いとは少し違う。楽しくなかったわけではなく、もっと安心感があるというか、優しくて温かみのあるデートだった。
「またしたい」
悠里は正直にそう言った。
「またしよう」
和樹もそう言う。
さて、今日は完全にお任せだったし、ご飯をおごってもらってプレゼントも買ってもらった。これでじゃあまたね、じゃあ気が引けるってものよ。
「和樹」
悠里は和樹を名前で呼んだ。そうして顔を向けて目をつむる。
厳密にはファーストキスではないが、あれはもうノーカンだよノーカン。キスじゃなくて口のまわり舐められただけあれは。
和樹のキスは優しかった。本当に言葉通りのキスで、和樹の唇の感触が柔らかく、優しく、そして温かかった。もちろん舌なんか入れてこなかった。
「…………」
唇が離れると悠里は和樹をじっと見つめた。不思議と全然恥ずかしくなかった。何となく指で和樹の唇を触ってぷにぷにしてみる。おお、柔らかい。
「なにしてんの」
和樹は戸惑ったようにそう言った。悠里は少し笑ってごまかした。
「今日はありがと」
悠里はそう言ってもう一度唇を重ねてから車を出て和樹の車を見送った。
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