第16話 交際のはじまり?
「センセ昨日の話ってさ」
悠里はそこまで言ってなんと続けるべきか迷った。本当なの?と聞けば逆にその話を信じているように思われるし、私にここに来てほしくないから言ったの?では飛躍しすぎのように思えたからである。しかし兵藤がその先を繋げてくれた。
「本当だよ」
ものすごくあっさりの回答だ。
「まあ簡単には信じられないよね」
そう言って兵藤は今日は自分で握ってきたらしいおにぎりを食べ始めた。
「なんで私にそんな事を言ったの?」
悠里はそう言った後で、自分からセンセの謎を聞きたいと言ったことを思い出した。
が、それは何というか、例え嘘だとしてももっと現実的というか、ありそうな話をしても良かったんじゃない?と思うのだ。そりゃ自分の秘密なんてあまり人には言いたくないだろうけどさ。何だよ神の子って。
「加藤さんとは気が合うからね」
兵藤はこれまたあっさりとそう言った。
「前に好みのタイプを聞かれたけど」
兵藤はペットボトルのお茶を一口飲んで言った。
「例えば僕は加藤さんを好きだよ」
兵藤は真っ直ぐ悠里の目を見つめて言った。その眼差しは真剣だったが、その口はおにぎりを頬張ったままなので非常にシュールだった。とりあえず悠里は爆笑した。
「私おにぎり食べながら告白されたの初めてだよ」
というより実は告白されたこと自体始めてだけど。
「じゃあなにこれ私達付き合う流れ?」
悠里はおかしくなってそう訊いた。
「それでもいいけどひとつ承知してほしい」
それでもいいって何だよ!と言いかけて、つい話の先が気になる悠里だった。
「付き合うなら僕は本気で子作りをする。それは覚悟してほしい」
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