第15話 乙女の覚悟

帰宅してから改めて悠里は兵藤が言った事を思い返した。


──うーむ

まず言ってる事は妄想とかファンタジーそのものだ。かといってちょっとアレな人には見えない。あるいはウケ狙いの冗談だったのかも知れない。でも行きずりの相手とかならともかく、自分の生徒に向かってそんな事をいうかあ?


──というより話の真偽なんかどうでもいい

そんな話をした目的はなんなのか?だ。振り返ってみると兵藤和樹という人は、他人から何かを得ようとしていないように思えた。例えばこの場合だと、美少女女子高生である自分の身体を狙うとかそういう空気を感じない。


──逆に私を避けるために言った?

普通に考えればあんな話をすればちょっとアレな人だと思われる。そうして悠里がビオトープに来ないように誘導して、元の静かな昼休憩を取り戻したいのだろうか?


──そうかも知れないけど

そのわりには別にイヤそうには思えなかったけどな。いやまあ無表情だから実はイヤだったのかも知れないけど。


──明日きいてみよ

もしセンセが、実はひとりで居たいだけならもうあそこには行かない。他の場所でもセンセと個人的に話したりもしない。自分もそうだけど、好き嫌いと関係なしにあまり人と関わり合いたくない人間というのは居るのだ。邪魔をする気はない。

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