第17話 まてまてまてまて
──まてまてまてまて
もはや悠里にとっては定例となった自室でのセルフ作戦会議のはじまりである。しかしさすがに今日は会議にはならない。自問自答以前に頭が爆発しそうだった。
──…………!
悠里に限らず若い女子にとって性行為とは、ただ興味津々なだけではなく、大きなリスクを伴う行為である。ただ性行為さえすれば満足する男子とは違い、自分の身体に新たな生命が宿ってしまう可能性があるのだ。そこには逃げ場なんかない。
しかし兵藤は悠里との性行為そのものを求めてきたのではなく、それを飛び越えて、最大のリスクである子供を作ると言い放ったのだ。
──まてまてまてまて!
悠里は性行為に対してあまり積極的ではない。夜遊びをしていた頃に付き合った男からレイプされかけた経験があるのだ。さらにそれ以前からやたら悠里の身体を触ってくるし、それも全然気持ちよくないしで、はっきりいってイヤである。
でもセンセがああいう感じで接してくるようには思えなかった。まあ判んないけど。そしてふと兵藤の手が頭をよぎった。兵藤の手は取り立てて美しいわけではないが、なぜか悠里の印象に残っている。
──あの手が私の身体を触るのかな
言葉でそう考えた時ではない。その言葉から連想して、自分の身体を触る兵藤の手を想像した瞬間に悠里の体温は40度を越えた。41度は行っていたかも知れない。
──まてまてまてまて!
悠里はベッドの中で自分の腕を抱きかかえて、膝を抱えるようにして横向きになり、何かと悪戦苦闘しながら身悶えるのであった。
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