第11話 再び宿屋アニータにて
『グッドルーザー』での反省会(?)が終わると、私は『宿屋アニータ』の自分の部屋に戻って来た。
今日一日、本当にたくさんのことがあった。初めてのフロア5、『グランド デポ 東京幕張店』、そして初めて死に直面したモンスターとのバトル……あまりに事が多すぎて頭の中がまだひっちゃかめっちゃかだ。
それに念願の鳥の骨付きもも肉も食べられたし……本当に大変おいしゅうございました。出来たら明日以降も食べたいと思います。いや、胸肉が嫌いなわけじゃないんだけどね。
私はベッドの上に寝そべり、『グランド デポ』のブラックカードをまじまじと見る。このカードのお陰で私達は今日、生き長らえたのだ。モンスターに囲まれた瞬間、私はもう二度とこの部屋に戻ってこれないのだと思ったのだ。
今、こうしてこの部屋に戻ってこれたことを心の底から本当に感謝している。
でも……でも、残りのポイントが18500ポイントになっちゃったのよねー。私はバックの中に入っていたレシートを見るとため息をついた。
この18500ポイントが私達の命綱になるのだ。今度使うときは、本当に考えに考えて買い物をしなくてはならない。
でも、とりあえず、ガスボンベは必須かなー……と『グランド デポ』ブラックカードを見つめていると、ふとあることに気が付いた。
カードの右下にあちらの世界で見慣れた『V○SA』ロゴマークが…………あらやだ、このカードってクレジット機能が付いてるじゃないの……ってことは、このカード、私の口座と連携してるの!?!?
段々と、前の世界の記憶が蘇って来た。
そして私は『グランド デポ』ブラックカードをひっくり返してみる……と、あらやだ、コレ、デビットカードの機能も付いてるじゃーん!!
ってことは、なに?私の口座からも直接お買い物が出来るって訳!?まぁ、口座にいくら残ってるかは知らんけど……
先程、居酒屋『グッドルーザー』でエルウッドさん達と、「今まで私達はちょっと働き過ぎてたんじゃないか」という話になった。
確かにダンジョンの中に入りさえすれば、確実にモンスターに遭遇しお金と経験値を稼げるとからといって、ちょっと掛かり過ぎていたのではないのか……と。
入れ食いの漁場を見つけたはいいが、帰りの燃料が無くなるまで気付かなかった漁師のように……本来ならもっと慎重になってフロア5に挑まなければならなかったのだ。
各々の心当たりを話し合いながら、しばらくはしっかりと休みを取りながら、この「ダンジョン 204高地」を攻略していこうという話になったのだ。
一番槍はいいけれど、そこで死んでしまっては元も子もない……ということで私達の話し合いはまとまった。
そんなわけで、明日と明後日はお休みということになりましたー!!
そんな連休だなんて、実家を追い出されて以来初めてかもしれない。部屋の掃除はしたいし、たまった洗濯物も片づけたい。そして、なによりも、この『グランド デポ』というスキルがどのようなものなのだがしっかりと確かめたいのだ。
おそらく、今日一晩寝れば、それなりにMPが回復して結構な時間あちら側に行けるはずだ。
私はそんなことを思いながら、もう二度と帰っては来れないかもしれないと思ったベッドの上で眠りについた。
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