第18話 普通 その③

 緊張するカロンと零のもとにソラを抱えた暁が現れる。


 「暁さん!! ソラは?」


 カロンが言う。


 「無事だ。今は気失ってるが、もうすぐ起きるだろう。」


 「よかった、」


 2人は安堵した様子だ。


 「カロン、ありがとな。お前に言われて、俺はうまれて初めて目が覚めた気がしたよ。」


 「いえ。あのときは、すみませんでした。」


 「俺の方こそ、悪かったな。」


 そう言うと暁は歩き始めた。


 「どこ行くんですか?」


 零が尋ねる。


 「少し、疲れたんでな。3日くらい休もうと思ってな。お前らもどうだ?」


 「……はい!」


 2人は元気よく返事した。



 「隊長の言う通り、いずれ師の仇、ギュスターヴとは出会うことになるだろう。それはなんとなくわかっていた。師の仇に出会うその日まで、いつか死ぬその日まで、俺の仇と罪については考えないようにしようと思う。」


 「時がたてば、仇にも出会い、死ぬことにもなるだろう。師の仇をうつその日まで、俺の罪が裁かれるその日まで、俺は普通に生きてみようと思う。ここでは、戦場では、普通に生きられる気がした。」




 「暁さん、暁さん!」


 ソラの声で暁は目を覚ました。


 「ソラか、どうした?」


 「シャルル元帥が呼んでましたよ。班長の会議があるって、」


 「あぁ。そうだった、ありがとな。」


 暁は立ち上がった。


 「ソラ……。この後時間あるか?」


 「はい。ありますけど、どうしましたか?」


 「いや、気分転換に修行でもしてやろうと思ってな。」



              機獣戦争へ続く

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黒薔薇の暁 ポンコツ醤油 @ankomad

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