第17話 誘拐事件 その③
「生きてやがったか。」
暁に緊張が走る。
「フンッ、大口叩くのもそこまでだな。」
ブルータスの右腕から枝分かれした黒色の氷柱が現れる。氷柱は地面を伝い、暁の足元にまで広がる。
「くっ、」
すんでのところでそれをかわした暁。そこへブルータスの黒煙が伸びる。
「あれに触れるのは、やばいな。」
暁は黒煙をかわすが、黒煙に集中し、氷柱への反応が鈍くなった。そして左足を貫かれる。
「セ、セーフ……。」
「フッ、どうかな?」
暁は突然、地面に倒れる。
「これは、毒か。」
暁は吐血した。
「俺の機獣の能力は、相手の機獣のコアを奪い取るというものだ。ただし、ストックできるコアは5つまでだ。」
ブルータスは袖をめくった。その右腕にはディノのコアを含めて5つのコアがあった。
「そして奪い取った機獣の能力を扱うことができる。元の俺の能力黒煙に加えて、氷柱、猛毒、伸縮、そして時止めだ。」
「めちゃくちゃな、能力だな。まるで、神の力だ。」
「先程お前に壊されたコアは、お前の機獣のコアで補うつもりだったが、まさか時止めを手に入れられるとは、運が良かった。」
ブルータスは時を止めて、暁の背後に現れる。
「さて、止めだ。あの世で師に泣きつくんだな。」
「……。師の夢を叶えることもできず、自分の居場所も見つけられず、こんな俺を慕ってくれた弟子を守ることもできない。」
「カロンの言う通りだ。強さって、なんのためにあるんだよ。俺は風月さんほど圧倒的な力はない。所詮は、ただの、兵士Aにすぎない。」
「だが、ここで、こんなところで、死ぬのは、違う。俺は大勢殺した。その件も含めてこんな、ところで死んじまったら。俺は、」
暁はブルータスの攻撃をかわした。
「かわされた!? こいつ、」
「極徒 常闇」
黒刀から放たれた衝撃はブルータスを吹っ飛ばし、氷柱を破壊した。
暁の機獣の能力は衝撃。自身から放つ衝撃を分散、または一点にまとめることができる。今のように広範囲に衝撃を分散することも可能。
ただし分散した分だけ衝撃は弱まる。それでも、氷柱を破壊するくらいなら十分であった。
「くっ、こいつ、こんな広範囲攻撃を。だが、まだ。」
ブルータスは暁の後ろに回り込む。そして氷柱を生成した。
「大人しく、散れ。」
暁は即座に振り返った。
「散々馬鹿にしてた癖に、相方とやることは同じなんだな。」
暁の黒刀が、ブルータスの腸に入る。
「極徒 常闇」
暁は衝撃を一点に集中させた。ブルータスの腸、そこに衝撃が集中したそのとき。黒色の稲妻は発生した。
魔桜 それは機獣の出力を限界まであげたときに発生する赤黒い稲妻。通常、魔桜と極徒を同時に放つことはできない。
しかし、暁はそれを可能にした。そこには何の原因もなかった。強いて言うなら暁だからであった。
黒色の稲妻はブルータスの全身へと広がり、5つのコア全てを破壊した。
「ば、馬鹿なァァァァァァ!!
ブルータスは倒れた。
「はぁ、はぁ、ソラ……。」
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