第15話 仲間 その②
「ソラが、囚われた?」
「はい。何者かはわかってませんが、ソラの命が欲しければ暁さんを指定の場所に連れてこいと。」
「……。」
暁はかつての師、八雲風月を思い出した。風月は一族から一騎討ちを申し受けられて、それに応じて惨殺された。もし、今回自分を呼び出した相手が帝国であるとすれば、師の仇と言われるギュスターヴである可能性は高い。
だが、敵は帝国とは限らない。ブラッドの可能性だって十分にある。行くにはあまりにもリスクが高い。
「悪いが、そこまでリスクの高いことはできんな。」
かつての師と同じ道を暁は拒んだ。
「どうしてですか? ソラは仲間なのに、」
零が言う。
「ソラは部下だ。それ以上でも、それ以下でもない。」
「部下……。そんなのあんまりじゃないですか。」
カロンが言う。
「ソラはほとんど機獣の能力を使わず、素の力で戦うあなたをずっと、かっこいいと言ってました。あなたのことを慕っていたんです。それなのに、」
「……。」
暁もかつて、素の力で機獣をばたばたと斬り倒す風月を心の底からかっこいいと思っていた。誰にも負けないと思っていた。
「どんなに強くたってな、負けることはあるんだ。それだけだ。ソラは俺に期待しすぎだ。」
暁が言う。
「いざというときに、部下1人、救えないんじゃ、強くたって意味ないじゃないですか。」
「……俺は、ただ。」
「あなたに何か目的があることは知っています。そのために、俺たちは全力で協力するつもりです。だから、俺たちが困っているときは、あなたが助けてください。あなたは俺たちよりずっと強い。だから、助けてくださいよ!」
「……。」
自身の夢のために、風月は暁を戦場へと出した。暁は風月に何度となく救われてきた。暁は風月の夢を叶えるために。風月はそんな暁を守るために。
だが、結局暁は師の夢を叶えられなかった。師を守ることはできなかった。そして今度は、自身の夢を叶える、復讐を果たす存在を置いていこうとしてる。
「……お前ら、ここで待ってろ。ソラのことは任せろ。俺が悪かった。」
暁は指定の場所に来た。開けた場所だった。周囲は入り組んだ鉄骨階段で覆われていた。
「お、来た来た。久しぶりだな、暁彩葉。いや、黒薔薇の暁。」
ディノが言う。
「お前は!? あのときの。」
「あんときの借りは返して貰うぞ。」
ディノが鎌を振るう。
「ソラはどうした?」
「安心しろ。人質は無事だ。」
階段の元で座ってるブルータスが言う。その隣ではソラが吊し上げられていた。
「暁、さん。逃げて……。」
「まあ、逃げたらこの人質がどうなるかはわかってるな?」
「そいつに手を出すなよ。手を出したら、」
暁は黒刀を投げる。黒刀はブルータスの右腕のコアを貫く。
「こうだからな。」
ブルータスは倒れた。
「マジかよ。かぁー、面白くなってきたな。ズタズタの刑が楽しみだ。」
「さて、俺の仲間は返して貰うぞ。」
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