第11話 仇

 「黒薔薇の暁か、ようやく見つけたぞ。」


 暁が振り返る。そこには千夜の軍服を着た大男がいた。長い金髪に黄金のマント。


 「誰だ?」


 「俺は千夜の特殊部隊隊長 シャルル・ワドーシン だ。黒薔薇の暁、悪いがお前を拘束させて貰う。」


 シャルルの腕の辺りに機獣が現れる。


 「お前、機械人間か?」


 「いかにも。」


 「今の俺はお前らと戦う気はない。俺はただ師の仇を探してるだけだ。もしお前らが師を殺したとあれば、即座にその首、頂くがな。」

 

 暁はシャルルに黒刀を向ける。


 「なんだ、そういうことね。お前、風月のとこの。それならお前、千夜に来いよ。」


 シャルルが言う。


 「お前らの組織にか? 俺を捕まえに来たんじゃないのか?」


 「戦力が集まればそれでいい。上も許してくださるだろう。着いてこい。」


 シャルルが言う。


 「風月の仇を探してるんだろう?」


 「何故、その事を知っている?」


 「あの風月がやられたんだぞ。その辺のことは知れ渡っているよ。」


 シャルルが言う。


 「信用できねえな。お前が、仇の可能性だってある。」


 暁が黒刀を握り締める。


 「俺が八雲風月に勝てると思うか? まあ、ここは1つ、お前に色々教えてやるよ。恐らくだが、八雲風月を殺した奴はインヴェスト帝国にいる。」


 シャルルが言う。


 「帝国に、?」


 「ああ。森羅万象と帝国の間で動きがあったと報告があった。その直後に一騎討ちに関する情報が俺たちのもとにも届いた。」


 「……。」


 「風月をやったと考えると、間違いなくオルキヌス・オルカの奴だろう。」


 「オルカ……。」


 暁はディノとブルータスを思い浮かべた。


 「風月をやったのがオルカの中の誰かとなれば、考えられるのは1人だけだ。」


 「誰なんだ?」


 「帝国最強の組織、オルカの中でも最も危険とされている男。ギュスターヴだ。」

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