第10話 黒薔薇の暁
「はあ、はあ。」
目を覚ました暁は屋敷へと走り込む。
「何者だ?」
門番が暁に槍を向ける。
「ふ、風月さんは?」
「あー、風月のとこのガキか。遅かったな。とっくに死んだよ、あんなゴミ。」
屋敷の庭は血にまみれていた。一騎討ちは既に終わり、風月の遺体はバラバラにされて弄ばれていた。
「……。」
「あ? なんだあのガキは?」
「……。お前らは、お前らはいつもそうだな。強者の影に隠れて、群れて、弄び、ハハッ。こんなことになるとは、思ってたさ。」
暁は剣を抜く。
「こんな、こんなこと、こんなもの、全部、消し飛ばしてやるよ。」
暁は門番の喉元を切り飛ばす。
「なっ! あいつは。」
暁は風月の遺体の周りにいた者たちを切り刻む。
「敵襲だ!! 敵襲だ!!」
すぐに衛兵たちが暁を取り囲む。
「武器を捨てろ!!」
「……。」
暁は衛兵たちの隙間を潜り抜ける。そして彼らの腸を切り裂く。
数十人ほどの衛兵たちを一瞬にして八つ裂きにした暁は黒刀を拾い、屋敷の中へ入り込む。
「え? だ、」
道中にいた女中、衛兵、非戦闘員まで見境なく切り飛ばした暁は当主の部屋にたどり着く。
「貴様は?」
全身血みどろの暁は赤く染まった黒刀を当主に向ける。
「誰だ?」
「なんだ?」
「八雲風月を殺したのは誰だ?」
暁が言う。
「生憎、それは言えんな。」
当主は剣を抜き構える。
「参る。」
当主が剣を振りかざすより先に暁は彼の首を切り落とした。
屋敷にいた人間を皆殺しにした暁は村へと降りる。
「な、なんだあいつは?」
村人たちは血まみれの暁を見て動揺する。
「あ、あの。」
1人の少年が暁に声をかける。
「もしかして、あなたが裏切り者の風月をやったんですか?」
「……。」
暁は黒刀を見つめる。
「あ、あの。もしよければ、サインとかお願いできませんか?」
「私も、出きれば。」
「俺にも頼むぜ。」
村人たちは表情を変えて暁の周りに集まる。
「ああ。そうか、こいつらは。例外なく、全員が腐りきったゴミなんだ。」
暁は空を見つめて言う。
「ゴミは、掃除しねえとな。」
暁の心の奥に眠っていたどうしようもない怒りがここで、解き放たれた。
暁は村人全員を虐殺し、逃亡した。そして各地にある 森羅万象 の一族を皆殺しにし続けた。
赤黒い血に覆われたそのおぞましい姿から人々は彼を 黒薔薇の暁 と呼んだ。
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