第9話 約束

 「ハッ!!」


 暁はいつもより早く目を覚ました。


 「風月、さんは?」


 暁は風月を探したが、既に風月は宿を去っていた。


 「……。」


 暁は裸足のまま外へ出た。そして風月が昔言っていた屋敷の方向へ走った。


 「……風月さん。」


 どれ程走っただろうか。暁の前を歩く風月の姿が見えた。


 「風月さん! 風月さん!!」


 風月が振り向く。


 「フフッ。バーカ。何来てんのよ?」


 「風月さん。逃げましょう。あんな奴ら、放っといて。」


 「いつにもなく必死だね。どうしたんだ? 暁。」


 「俺、風月さんのことが、好きです! なので、行って欲しくないです。」


 「へぇ~。そうか、そうか。じゃあ、あの約束覚えてる? 私に一発でも当てたら好きにしていいって。」


 「もちろんです。」



 「強くなったね。暁。」


 風月の腹パンに気を失った暁は倒れ込む。


 「強くなったのは嬉しいけどさ。嘘告はよくないよ。君が私のことを異性として見てないのはわかってるから。全く、これだから男は。」


 風月は屋敷へと向かっていく。

 

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